黒バス
□よろしく?
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最近とても調子が悪い…ラッキーアイテムを身につけていてこんなにも調子が悪いのは初めてだ
「ねぇーみどちん、最近、なんか変。」
「なんか」などというアバウトな言葉でまとめないで欲しい。という思いを込めて言葉を発した人物である紫原の方へと視線を向ける
彼は視線など気にせずにもさもさとまいう棒を頬ばっている。今日のは当たりだったらしく食べる速度がいつにもまして早い。
「そうなんだよな、こいつ今までにも増して図書室で本借り過ぎ。なんで参考書一気に5冊も借りてくんだよ…見てるだけで頭痛えよ」
「別に何冊借りたっていいのだよ。読むのだから」
そう、読むのだ。理由はそれだけ
別に図書室に行きたいわけではないのだ。
「あとねー…みどちんのくせに最近シュート外す時あるよね」
「あり得ねえよな。いつも人事…?尽くしてんだろ?ついに運も尽きてきたのか…」
ニヤニヤとこちらを見てくる青峰を殴りたくなったがシュートを外すことがあるのは事実なので何とも言えない。紫原の食べこぼしたカスがさっきから俺の机の上にぱらぱら落ちてきているのも気にならないほどに考えに耽ってしまう、なんでなのだよ…と目の前にあったニャン太郎につい話しかけてしまった
「…というか、毎週火曜日なんです」
ビクッと俺と青峰の肩が揺れた。紫原は全く持って動じずに「あ、黒ちんだ〜お菓子持ってない?」なんて言っているが、黒子…頼むからもう少し登場の方法を考えて欲しい
「えー?何が、火曜日なのー?……うわっ、これ美味い。マジ止まらないんだけど。黒ちんこれどこで買ったの?」
「緑間くんがシュート外す日です。そしてそれ以外の日はなんとなく練習に身が入っていないというか、ちゃんとやっているんですがたまに体育館を見渡してますね。ちなみにそれは購買の新商品です」
「黒子、なぜお前がそこまで気付くのだよ…」
人間観察が趣味ですから。と微笑んだ黒子は少し怖かった。こいつを敵に回してはいけないのだよ…
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「んなこと言ったって火曜日なぁ〜…なんかあったか?火曜、火曜…」
「火曜日はミャスコでお菓子が安売りされる日だよねー」
「緑間くん、本当にシュート綺麗ですね。シュートが入る時の音、聞きいっちゃいました」
微笑みながらそう告げた彼女になんとなく恥ずかしくなってあぁ…とかいう曖昧な返事しかできなかったおよそ1カ月前のあの日 彼女はたまたま体育館にいた友達に用があったらしくその帰りに人だかりができていたバスケ部が目に入ったそうだ
「あのっ、もしよかったらたまに見に来ても良いですか…?」
「別に、構わないのだよ。だが…普通女子はあっちのほうが見ていて好きなのではないか?」
あっち、とは言わずもがな1on1を始めた青峰と黄瀬の方である。女子に限らず普通はシューティングよりもあちらの方が見ていて楽しいだろうに、彼女は少し眉を下げてこう言った
「あちらもかっこいいですが、私は緑間くんのシュートの方が好きです。なんだか、落ち着きます。」
「そうか…俺もシューティングの方が好きなのだよ。」
じゃあ、お揃いですね。ってまた笑顔。不覚にも頬が熱くなる感覚に襲われる
「あ、スミマセンまだ自己紹介もしていなかったのに…私、みょうじ名無しさんです。緑間くんのことは図書カードみて、珍しい名前だなってって覚えちゃってました。あと、とっても綺麗な緑色の髪が印象的だったので…」
「…あまり褒めないで欲しいのだよ。慣れてないのだよ」
無自覚なのか、決して媚を売るつもりもなさそうに人を褒める。これはある種の才能のように思えた
みょうじ曰く、火曜日は図書室が閉館なので火曜日の放課後に見学させて欲しい、と。
そう、火曜日
「…い、緑間!!」
「、なんなのだよ」
「お前人の話聞いてなかったろ。んで、火曜日に心当たりあんのか?」
「ない。ないのだよ。決してないのだよ」
ない。ない。あり得ない
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でも気付いてしまった。火曜日以外の日にももしかして来ているのか?と視線を動かす自分に
そして火曜日には見学に来ていたギャラリーの中から一瞬でみょうじを見つけ出せる自分に
「ふーん…みどちんがそう言うならま、いいけど。火曜日に心当たりあるってことだね。」
ですね、だな、と頷く黒子と青峰、そして紫原を放置で頭の中はみょうじのことで一杯だった
そうか、彼女が不調の原因か。それは分かったとして、なぜ彼女の顔を見ると肩に力が入ってしまうのだろう
「緑間くん、あの…」
考えを巡らせていたら真に今自分の頭の中にいた人物、みょうじが教室の入り口に立っていた
「え?緑間、いつの間に女子の友達なんてできたんだ?」
と言いながらみょうじに近づく青峰。効果音としてはひょいっという音がちょうどいい感じに自分よりもずいぶんと低い位置にあるみょうじの顔を覗き込む。
明らかにおびえられている。俺が言うのもなんだがお前は見た目が怖いのだよ
「…えっと、これさっき図書室に忘れていたので…」
「ああ、図書カードを忘れてしまったのか…ありがとうなのだよ。青峰、お前は見た目も中身も危険なのだからあまり近づくな。」
「酷くね?あいつ酷くね?」
「事実ですよ、青峰君…」
青峰を黒子が諭しているのを見ていると横からひゃっという小さな悲鳴
「わー、なんか小さい。小動物みたい。みどちん、この子誰?」
「あ、あの…できれば下ろして頂けると、嬉しいです。た、高いところ苦手で…」
何をやっているのだよ紫原。みょうじを抱き上げる必要がどこにあったというのか。
「図書委員のみょうじなのだよ。」
それ以上でもそれ以下でもない。きっとそうだ。強いて言うなら俺のシュートのファン…?という称号がつくくらいか
「みょうじ名無しさんです、よろしくお願いします…?」
「紫原敦ー。よろしくね、名無しさんちん。なんか小さくて可愛いから仲良くしてあげる。」
別に俺はこんな展開望んでなかった
ちょ、俺らのこと無視すんなよ。
黒子テツヤです。みょうじさん、よろしくお願いします
青峰大輝。お前緑間と仲いいのか?よくこんな変人と会話できんな。
なぜこんなことになったのだ。
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