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□勝己(MHA)6
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「いい天気…」
「……ん」
「あの、爆豪くん?」
「んだよ」
「どうして私は膝枕をしているのでしょうか」
「そこにお前の膝があるから」
おおう…そういう答えを期待していた訳ではないんだよ爆豪くん。
相変わらずどうしてなのかは分からないけれど私のそばにいると眠くなるという設定は健在みたい。
お昼休み、ご飯を食べた後のあまり時間は大抵二人揃って昼寝もしくは私は読書タイムなのだけれどさすがの私も起きている段階から膝枕なんてさせられると眠ることも動くこともできない…緊張するに決まってる
「爆豪くん後生ですからせめて背中を向けてください」
「むり」
お腹側に顔が向いているのがすごく落ち着かないし、腹筋にこれでもかというほど力を入れてしまう。かといって仰向けだと真下から顔を見られるのもつらいし、妥協に妥協を重ねたら背中を向けて寝てもらうのが一番いい。本当は膝枕なんてしないのが一番いいけれども
「こんなところ誰かに見られたら…」
「今までここに俺とお前以外来たことあったか?」
「な、ないけど、ほら…こんなことしてたらあらぬ疑いをかけられてしまうかもしれな…」
「お前さ、」
爆豪くんが急に起き上がるから顔を引っ込めきれなかった。すごく距離が近い。鼻と鼻がぶつかりそうな体勢が心臓に悪くって、後ろに下がろうとしたけれどすでに腰が捕まっていた。
「ちょ、ちょ…ちか…」
「まぁ返事はまだ少〜しだけ待ってやるとしてもだ…俺がこんだけしてて、わかんねぇとは言わせねぇからな。」
「うっ…」
「こちとら外堀から埋めてやろうとしてんだよバーカ。あらぬ疑い?上等だっつーの。むしろそれ狙ってんだわ」
そしたらお前に絡む馬鹿な輩もいなくなんだろうが。
至極真面目な顔で言い放たれたら目をそらすことができない
ぐるぐる回る視界をどうにかしたいけど、どうにも出来なくてひたすら彼を視界にいれないように忙しく目を回していた
「…あー、くそ、その顔止めろ」
「わっ、え、どんな顔…」
「好きな女泣かせて喜ぶようなサディズム性は持ち合わせてねぇんだよ」
目の部分に彼の大きな左手が乗ってくる。以前まではこの手が怖くて怖くて仕方がなかったのに、今では安心するほどになってることに気づいてまた、胸がざわつく。
「…あー、わり。」
すっと離される手。解放される顔。彼は相変わらず私のいやがることはしない。こうして一番最初に言ったことを未だに続けてくれている。
「もう大丈夫だよ。爆豪くんが本当は優しいって知ってるから。」
「……俺のこと優しいとか、んなわけねぇだろ。」
堂々巡りのこのやりとりも楽しいと思える程度になっている
少しだけ居心地が悪そうな顔をしたかと思えばまたゴロリと寝転んでしまって体勢は逆戻り。
「日曜日、10時に迎えにいくから」
「…へ?」
「お前が読んでた小説、映画化されただろ。それ行く。」
返事をする前に爆豪は立ち上がって手を差し出してくる。どうして彼はこうも触れ合いを好むのだろうか
「り、了解しました。」
あえて手を掴まないで立ち上がったのにすぐに捕まる右手。触れてる部分が熱いのは爆豪くんの左手が熱いせいだと言い聞かせる
「でも、爆豪くん私が読んでた小説だってよくわかったね?」
「別に、お前のこと見てりゃあわかる」
暗にじっと見られてたことがわかって今更ながらに照れてしまう。熱い顔から気をそらすようにするには彼に話しかけるしかない
「せっかく出掛けるなら、私の用事だけじゃなくて爆豪くんが行きたいところにも行きたいな。どこかないかな?」
なんだかんだお世話になっている自覚はあるので問いかけてみるとあら、珍しい表情
「……は?」
「え?わ、私何か変なこと言ったかな…」
「いや…てっきり名無しさんは嫌々来ると思ったから」
「え…?嫌じゃないよ?」
「はー…お前さ…なぁもうこれ付き合ってるってことでいいだろ?」
「それとこれとは重みが違うよ…」
手を掴んだまましゃがみこまれると私も屈まなきゃいけなくなるのだけれども、なんだかいつもは見上げている頭が私より下にあることが妙に可愛く見えてくる
「……ほんとお前バカだわ」
じとりと睨まれて多少たじろぐけどここで爆豪くん大好き!付き合って!だなんて言えるわけもなく苦笑いを溢すだけの私がいた。
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