黒バス
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「すごいなと思ったけど、怖くないよ?」
「…は?」
「私、ほら、見た目通り運動得意じゃないし背も小さいからあんな風にリング掴めないし」
「ちょっと待った名無しさんちん…」
「だからかっこいいなって思ったし、好きなことやって楽しそうな紫原くん見て嬉しかったんだけどなぁ…惚れ直しちゃった。」
口をあんぐりと開けている紫原くん。あ、珍しい表情で可愛いな写メ撮ったら怒るかな…
「ねぇ、今の話ほんと?ほんとにほんと?」
「こんな嘘つかないよ〜かっこよかった。」
あんまり彼を誉めてばかりだとなぜかこっちが段々恥ずかしくなってきた…頬が熱い。
「よかった…嫌われたかと思ったし…」
心底ほっとした様子で抱き締めてくる紫原くんに私も彼の機嫌が直ってほっとする。座っていても感じる身長差を埋めるように彼は屈んで私を見つめて
「名無しさん、だーいすき」
「…ちょ、待っ…だめ、ここ、外だから…」
「えー…なんでー?」
慌てて彼との間に作ったバリケードという名の両手を意図も簡単に片手で捕まえた紫原くんは心底不思議そうに少しだけ不機嫌に問いかけてくる。
「だって外だし、みんないるし、心の準備が…」
「………名無しさんちんが嫌なら我慢する。」
渋々諦めて少しだけ距離をあけてくれてホッとしたのも束の間で
「ひゃっ、ちょ…紫原くん…!?」
「これで我慢したげるー」
捕まえた指を甘噛みしたあとにペロリと舐められるだなんて…羞恥心だけで死ねそうだ。
「〜〜っ、紫原くんのバカ…」
「え、うそ、名無しさんちん、ごめん。ごめんってば…」
思わず涙目になって怒る私を見るとさっきまでの意地悪な顔はどこへいったのやら、今度は困った顔で必死に私を宥めようとしてくる紫原くん。
なんだか嬉しくなってきて、つい笑ってしまう。
「紫原くん、試合大丈夫なの?」
「あー、忘れてたし。名無しさんちんともっとこうしてたいからいいや。」
俺がいなくても勝てるし。って言うけれどサボりは迷惑がかかるから良くない。駄々をこねる彼を試合が終わったら話してた大福を食べに行こうということでなんとか説得して、コートに戻るとすごく驚かれた。主に黄瀬くんに
「え…紫原っち!?もう帰ったと思ったッスよ〜!みょうじさんが説得してくれたんスか?すごいッス!!」
「ほらーだから一緒に帰ろって言ったのに。」
「普段から途中で帰ってるのね…」
彼のフリーダムさに私よりも慣れているだろうお友達が離れていかないのだから紫原くんにはやっぱりなんだか許してしまう部分があるんだろうなぁ
試合も順調に終わり、紫原くんと食べる大福は美味しかった。けど、バスケはいつから始めたの?とか質問してたら質問攻めに飽きた紫原くんに名無しさんちん、久々に孫に会うおばーちゃんみたいって言われたことだけは解せない。
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