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□濯也(AO!)
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「…やっと、出て来てくれた。」
「…っ!?え、ちょ、うそ。」
相変わらず物音は聞こえないままだけれどさすがにもういなくなっただろうとそぉっと布団から顔を覗かせると、いなくなるだなんて甘いことを考えてたなと気づく。
近くでじっと座ってこちらを見ている赤山くんと目が合う。ほっとした顔を見せてそんな台詞は止めて頂きたいし、たち膝姿勢で私の顔を覗きこむなんて、急に距離を詰める攻撃も考えものだ。
「あのね、さっきのは違う…いや、違わないけど私、こういうの慣れてないから…」
「勘違いさせたい訳じゃないです。」
「え?」
「みょうじさんだから、優しくしたくなるんです。俺、そんな器用な奴じゃねぇし、だから、あの、勘違いじゃなくて…本気で…っ、」
オドオドしてる…?あの赤山くんが?
「せ、赤山くん…?」
「俺、女の人の扱い方とかわかんねぇし、どうすればいいかもわかんねぇし…でも、みょうじさんのこと、すっ…好きだから必死でっ!」
「え?赤山くんなら選り取りみどりでしょ…どうして私なんか…?」
「…なんかなんて言わないでください。」
「ひゃっ、ちょ、赤山くん!?」
肩を捕まれて仰向けにひっくり返されたかと思うと、無理に視線を向けられた先には真剣な瞳が映る。
それで今に至る。振り返ってみたけれど私の何にそんなに憤慨する要素があったのか全くわからない。
じっと見つめてみるとふいに視線を逸らされて彼と目を合わせることができない。
口を開けては閉ざし、何か言いたげなのにそれは音にはなっていなくて、じっとその状況に耐え続けていると今度はうつ向いてしまった。
「赤山くん、あのね、離してくれないかな…?ほんとに…情けないことに心臓が破裂しそうです…」
「みょうじさんは、俺とこうするの…い、嫌ですか…?」
「っ、嫌なわけない…逆、逆だから、もう恥ずかしくて死にそう…」
「どうすればいいか、わかんないんです。こんなに好きになるの初めてで…」
なにがどうしてそうなったのか分からないけれど彼が私のことを好きだと言っている。赤山くんが、私を?
「お、俺と…!付き合ってくれませんか」
真っ赤な顔で告白してきてくれた彼とのこの思い出は一生忘れられそうにない。
***