黒バス

□SS6
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「早く焼けないかな〜」

部屋の掃除だとか溜めてたことが一段落して午後、お待ちかねのケーキ製作時間。鼻唄を歌いながらケーキの焼き上がりを待つ名無しさんちんだけど

「名無しさんちん、焼けたあとに冷まさなきゃだよ〜」

「忘れてた…」

そわそわとオーブン前を陣取るのは可愛いけれどまだまだ焼けそうにないし、何より冷まし時間があるから食べるまでには時間が空く。

「ねぇ名無しさんちん」

「ん?どうしたの?」

「ヒマー」

「そうだねぇ…家のことはだいたい終わっちゃったし、なんかDVDとか借りてくればよかったかな」

「うーん…じゃなくてさぁ」

「なにー?」

首をかしげて考える姿が可愛くてつい先に手が出る。まぁいっか答え合わせってことで許してねー?
オーブンを覗きこんでいるのを多少強引に引っ張って腕の中に閉じ込めると分かりやすく動揺する身体。

「むっ、紫原くん…!?ほら、ケーキ、ケーキ!」

「今は名無しさんちんな気分だし。」

「ちょ、待って…あの、ほら、まだお昼だし、ね?」

「いーじゃん昼でも夜でも変わんないしー」

ちゅ、わざと大きめの音をたてて額にキスをすると更に赤くなる顔、熱くなる身体。大人しくするにはこの方法が1番
腕の中に収まる小さい身体が堪らなく愛しくて抱き上げたらビックリした様子で拘束から抜け出そうとする。多少抵抗されてもオレにとっては全く痛くも痒くもないしその小さな抵抗ですら、キスをひとつ落とすだけでなくなってしまうから本当に目の前の可愛い生き物の今後が心配だ

「んぅ…ん、するの…?」

「ん〜…どうしようかな〜名無しさんちんはイヤ?」

「……イヤじゃない、けど…」

「名無しさんちんえっちのあとすぐ寝ちゃうもんね〜?」

おそらく抱かれることはイヤではないはず。ちゃんと気持ちよくなってもらう自信はあるし、事実いつも途中で意識を飛ばす彼女。でもこの子の何が可愛いって

「折角長くいられるのに、私だけ寝ちゃうのイヤ…」

恥ずかしがり屋のくせにこういうことを平気で言っちゃうとこ。ほんとずるい。
ベッドの上にすとんと身体を降ろすと少しだけ不安げに見上げる瞳も堪んない。

「そーゆーの、逆効果だし。でも、名無しさんちんがイヤなら我慢する。そのかわり夜はその分構って〜?」

「うっ…ぜ、善処します…」

「約束だかんね?今はこれでいーや。」

ぎゅうっと抱き締めてそのままベッドに倒れこむ。彼女を持ち上げ、顔の高さを合わせたかいがあってすごくキスがしやすい距離に満足する。多分今オレ、すっごいにやにやしてる。
え?とか待ってとか言う唇に言葉ごと飲み込むようなキスをすると呼吸が苦しくなったのか、頬を包むオレの右手を控えめにぺしぺし叩いてくる。

「んっ…ふ…っ、…はぁっ」

「ん、名無しさんちんかーわい…」

角度を変えて、息継ぎをさせるために少しだけ離してはまたくっつけて。おずおずと差し出される舌を捕まえるとまたくぐもった声が聞こえる。
合間に呼ばれる名前が嬉しくて、今度は頬にちゅうっと音をたててキス。はにかんだ顔をして紫原くん、好き。だなんて言われたら我慢できるわけないじゃん名無しさんちんのバカ。

気付けば部屋着の裾をたくしあげて、お腹を触り始めていることに気づいて理性をフル活動して、必死に右手を押さえつける。ライオンは獲物が可愛い可愛いと思ってるうちにいつの間にか食べちゃってるだなんて前にテレビでやってた話が過った。オレってライオンだったの…?ヤバい。

「名無しさんちんごめん。止まんないとこだった。」

「…ん、だいじょーぶ。」

身体を持ち上げてあぐらの上に乗せる体勢にすると、ぼーっとした顔は真っ赤になっている。両手で顔を包み込むとへにゃっとした笑顔を見せて首に抱きついてくる。なにこの可愛い生き物…

「はー…もう、名無しさんちん大好き。」

「私も大好き。」

そのままの体勢で頭を抱え込んで胸に閉じ込めるとすり寄ってきたからそのまんまさらさらの髪に指を通して頭を撫でる。
ふわふわで柔らかい身体が気持ちよくて手放すことができないまま、オーブンの焼き上がりを知らせる音は聞こえないふりをした。
ぎゅうぎゅうに抱き締める度に、キスをする度についつい手が胸に伸びたり、足に伸びたり。
やっぱりオレってライオンかもしんない。


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