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□RKRN(六年生)4
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「小平太、留三郎、長次、あとは僕が看病するからいいよ。ありがとう。」
中在家さんのもそっと言う声と食満さんのおう、という声は聞こえたけれど私の頭付近からはなにも声が聞こえてこない。七松さん、どうしたんだろう
「私も看病するぞ!」
「こ、小平太…気持ちだけ受けとるから…」
「いや、私が看病する!」
「小平太、気持ちは分かるが伊作がやらなきゃ治るもんも治らねえよ。」
「止めるな留三郎!長次!」
「小平太…戻るぞ」
私は名無しさんの看病をするんだぁぁあ!なんて言いながらどうやら七松さんは引きづられて行ったらしい。うっ…大声が頭にガンガン響いた…
「さてと…名無しさんちゃん、起きてるよね?多分熱で目を開けるのが辛いんだと思うんだけど…そのままでいいからね」
さすがお医者さん何もかもお見通しなのか…
「とりあえずご飯を食べて欲しいんだけど、僕があれこれしても恥ずかしいだろうから…一年生の良い子を呼びました。乱太郎〜」
「善法寺伊作先輩〜重病人ってこちらのお姉さんですか?」
ん?何を言っているんですか善法寺さん!?無理やり目を開いてみると眼鏡をかけた可愛らしい男の子がちょこんと近くに座っていたからまたビックリした…
「うん、そうだよ。名無しさんちゃんて言うんだ。」
「あっ土井先生がおっしゃってました!私は猪名寺乱太郎です。よろしくお願いします。」
「という訳で乱太郎、名無しさんちゃんにこのお粥を食べさせてあげてくれるかな?僕はそこで薬を作ってるから。」
「は〜い!」
にこっと笑顔を見せてくれる乱太郎くんに癒されたけれど、なんだか聞き捨てならない言葉が聞こえた。
『善法寺さん、私自分で食べられます』
「名無しさんちゃん、僕これでもけっこう怒ってるんだよ?病人は大人しく看病されてください。」
無理だ。今の善法寺さんにはきっと七松さんでも勝てない。私なんかが太刀打ちできるわけがない…数秒で悟った私はすぐに諦めて大人しく乱太郎くんの看病を受けることにした。
「名無しさんさん、口開けてくださーい」
は、恥ずかしい…けど、確かにこんなこと善法寺さんや七松さんにやられた日には私は口を開けることなんてできずに羞恥心を抱き締めながらそのまま布団に逃げ込むことだろう。
そう考えると自称怒ってる善法寺さんはやっぱり優しいなぁ…どう育ったらこんなにも優しい青年が育つのかご両親もしくは学園長先生にレポートを書いていただきたいくらいだ。