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□RKRN(六年生)6
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「あなたが名無しさんちゃんね?今日からよろしく。さっそくだけどこのじゃがいもの皮むきをお願いしてもいいかしら?」

私は今、けっこうな危機的状況に直面しております。
風邪はすっかり回復して、足の怪我も善法寺さんの了承を得た私はやっと学園内のお手伝いに回ることができることになり、初日は食堂のお手伝いをすることになった。
にこやかに「おばちゃんって呼んでね」と言ってくださる通称食堂のおばちゃんと出会って数分で仕事を頂いたわけですが…

「あらあら…」

「も、申し訳ありません…」

早く剥こうとすれば雑になる。丁寧にやろうとすれば亀並みにトロい。そんな私におばちゃんもお手上げだった。料理は嫌いではないけれど、ここまでスピードを求められることもなかったし何よりも私にはピーラー様という強い味方がいたものだから包丁で皮を剥くことがとてつもなく苦手だ。こんなことになるなら、普段からピーラーに頼らずに包丁一筋で生きてくればよかった…

「おばちゃん、本当に申し訳ありません…邪魔者が増えただけになってしまって…」

「いいのよ〜そのうち慣れるわ!」

「もし良ければひたすら皮を剥いていていいでしょうか?早く出来るようになりたいので…」

本当は色々と手伝える方がいいに決まっているけれど、一先ずは一つずつ解決していく方が向いていると判断して伺いをたてるとすぐに快く許可を頂いた。さて、今日の私は皮むき要員だ。ひたすらに剥き続けてやる。





「名無しさんちゃん、この辺で休憩とりましょ。」

「お疲れ様です…」

ひたすらに剥き続け、指を切りじゃがいもを落とし…ここまで不器用な女がいていいのだろうか

「ほら、お昼ご飯の用意できてるから食べましょう」

「いただきます。相変わらず美味しいです…」

「よかったわぁそう言われると作りがいがあるのよ。」

「おばちゃーん休憩中ですか?ちょっと厨を借りたいんですが」

「あら、久々知くんじゃない。豆腐料理を作るのね?自由に使ってちょうだい。」

「豆腐?」

豆腐料理ってなかなかピンポイントで言わないよなぁなんて首を傾げて入り口を見るとポニーテールに凛々しい眉毛と相反した可愛らしい顔立ちの男の子が立っていた。
おばちゃんの方を見たあとにこちらへと視線をずらして「もしかして、あなたが名無しさんさんですか?」と問いかけられたので自己紹介をすると聞いてた通りだ!なんてにこにこと笑顔を見せられたので何を聞いたのだろうかと首をかしげてしまった

「三郎と雷蔵から話を聞いていたんです。あ、鉢屋と不破です。名無しさんさんのこと、可愛らしいけどなんかこう…えっとのんびりした人だって言ってました。久々知兵助ですよろしくお願いします。」

「ーーもしかして、トロそうって言ってませんでした…?」

「い、いえ…そんなことは…」

目をそらす姿を見て確信した。トロいって絶対言った。事実だから仕方がないと思う反面あんな少しだけの時間でなぜバレるのかと自分を呪った
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