黒バス

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年下の彼は思ってた以上に危険だった

「し、心臓がもたない…」

先日の水族館での公開告白のようなものの後も、ご飯を食べていたって隙あらば頭を撫でてくれるしほっぺはつつかれるしスキンシップの嵐。バイバイ、と別れた後に家についたら電話をくれて「最後に声聞きたかっただけ〜。おやすみ、名無しさんちん。」って言われただけなのに、なんだか甘い声にすっかりあてられてしまった…。
彼が俗に言う彼氏、という存在に変わった日は紫原くんはモテるんだろうなぁという思いが確実にモテてるなという確信へと変わった日になった。

「紫原くんが好きすぎてつらい」

どこぞの漫画のタイトルだという突っ込みをいれつつ、事実だからどうしようもない。好きだから不安で仕方がなくなるし、好きだから彼の一挙一動にときめいてしまって心臓がもたない。
ハマるまでが早すぎたこの恋は大丈夫なんだろうかと訳がわからない心配までしてしまう。

「名無しさんちん、ほら、あーん。」

「……紫原くん、何度やられてもあーんはしないからね…?」

「えー…このシフォンケーキめちゃくちゃうまいのに〜もったいな〜い」

これ見よがしに目の前でシフォンケーキを頬張る少しだけ意地悪な彼。でもあーんなんてした日にはそのまま心臓が止まって死んでしまう確信がある。恥ずかしい…

「名無しさんちん?嘘だよ。ほら、あげるー」

結局お皿をこちらに向けてくれる彼は優しくて、私も自分のキャラメルプリンを差し出す。うん。今日も幸せだ。

「あ、そうだ。名無しさんちん、この店行ったことあるー?」

「あ、ここおいしいよね〜大福のあんこが甘いのにしつこくなくて、大好き。」

「俺まだ行ったことないんだよねー。今度一緒に行こー。」

「うん、大歓迎!週末だと土曜日がちょっと予定入ってるから日曜日なら行けるけど…」

「……あー、日曜日俺予定入ってるし…名無しさんちん優先しよーかな…」

眉間にシワを寄せて悩む彼。とても嬉しいけれど先約があるならば仕方がない。お店は逃げないのだから今度また一緒に行こうと提案すると渋々ながらも頷いてくれてホッとする。
短い付き合いながらも彼がへそを曲げるとなかなかに面倒なことはなんとなく分かっているので、穏便に済ませるに越したことはない。

ただ、アルバイトもなるべく平日にしてるという紫原くんにしては休日に予定が入っているということは珍しい気がする。決して彼に友達が少ないだとかそういう意味ではなくて、ただ、なんとなく私が見ている彼は週末のお休みはいつでも空いてるといっていることが多かったから。
そんなことを考え込んでしまうことも、絶対だからね?ってふてくされた顔で念押ししてくる彼が可愛いから止められてしまったけれど。


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