黒バス

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「名無しさんちん、これあげるー。」

大きなぬいぐるみを抱えて突然現れたかと思えばその熊さんはプレゼントだと言う彼。ぬいぐるみを欲しがる年齢はない…けれど可愛いものは好きだし、嬉しいので素直にお礼をいう。人間素直が一番である。

「名無しさんちん、寂しいときはこの子に添い寝してもらってね〜。」

私は眠るとき、抱きつき癖があるのだろうか…そんなこと今まで知らなかったんだけど、どうしてこんな展開になっているのかわからない。

「わ、もっふもふ…紫原くん、この子すっごく触り心地がいいね…!」

はい、と渡されてそのまま抱き締めてみるとビックリするくらい触り心地がよくてついつい手放せなくなる

「すっごく嬉しいけどどうして急に?」

「オレ、来週合宿だしその間名無しさんちん寂しくて死んじゃうんじゃねーかなって」

「…死なないよ」

本気の顔で言うからつい笑ってしまったけれど彼の気持ち(とくまさん)はありがたく受けとる。
名前、どうしようかな…紫原くんが連れてきてくれた子だし、あつしくんなんてどうかな?
ダメだ恥ずかしいから却下

「くまさんよろしくねー」

「こいつオレの代わりだからねー本物がいるときは本物の相手してくんないとダメだし。」

持ち上げたり抱き締めたりして感触を楽しんでいるとなんとも可愛らしい大きな子供が後ろから抱きついてきた。

「ご、ごめん…嬉しくてつい」

「んー…気に入ってくれたならいっか〜。」

ちょっとだけいじけてる可愛らしい彼の頭を撫でてみる。いつもは遠い彼の頭が私の手の届く範囲にあるのはなんだか新鮮。さらさらの紫を思う存分楽しませてもらうことにしよう

「ん、こっちも欲しい」

しばらくそのまま、されるがままだった紫原くんがぐりぐりと頭を押してくるようになったからどうしたのかな?なんて首を傾げているとパッと顔を上げてそのまま持ち上げた右手の人差し指で私の唇に触れる。上目遣いでこの一言、破壊力がありすぎます。もはや可愛いの暴力だ。

「あ…あげられない、です」

「どーして?」

「恥ずかしい、から…」

「じゃあ名無しさんちん、目瞑ってー」

大きな手で目を覆われてそのままキスされる。紫原くんとのキスは何度してもドキドキしてしまってダメだ。
離れ際に手が離れたのでそっと目を開けて見るとやけに嬉しそうな紫原くんと目が合う。かぁっと顔が熱くなって直視出来なくて、思わずすぐに目をつむるとまたキスされる。ずっとオレしか見ないで欲しいし、だなんて言わなくても紫原くん以外見えないよ

「紫原くん、大好き」

「あー…せっかく我慢してるのにもう、知らないかんね」

名無しさんちんのバカーなんて言いながらあっくん(暫定)を抱き締める私が紫原くんに抱き締められる。詰め込まれてる感は否めないし近い距離に少しだけ緊張するけれどそれ以上に幸せな気持ちの方が大きい

「あー…合宿めんどい。名無しさんちんに5日も会えないとか無理。」

「ふふ、気をつけて行ってらっしゃい。」

「行きたくないし。」

「でも、私はバスケしてる紫原くん好きだなぁ」

「そーゆーこと言うのほんとズルいよね。」

「ちょ、紫原くん痛い痛い」

「悔しいからお仕置き〜」

それから名無しさんちんは寂しくねーの?ってふてくされて私の頬を掴み続けた紫原くんを宥めるのにすごく時間がかかったことは言うまでもない。


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