黒バス

□SS6
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目が覚めて最初に見るのは可愛い可愛い彼女の寝顔。
これが見たくて目覚ましもなしに少しだけ早起きするなんて、昔から考えると信じられないななんて自分でも思う。

「名無しさんちん、おはよー。」

起こさない程度の小声で声をかけて、そっとキスをするのもすっかり日課になっている。
ぎゅうっと抱き締めすぎてるくらいに抱き締めても起きないし、本当に眠り姫みたい。昔姉ちゃんがよく読み聞かせてくれた童話によくあったっけ…彼女はキスなんかじゃ起きてくれないけど。

「あー…ご飯作んなきゃだし…」

頬をつついてキスをして、繰り返しの愛情表現は彼女には内緒。起きてる時にすごく照れる名無しさんにキスするのも可愛いけどこうして無防備にしている姿も捨てがたい。名残惜しいけど一旦離れるのも彼女のためだと言い聞かせてこっそり起き上がろうとすると

「もー…可愛すぎだし。このまま食べちゃうよ?」

Tシャツを弱く握る名無しさんの右手を起こさないようにそぉっと離して、キッチンに向かう。うーん今日は和食な気分
だし巻き玉子は甘めの味付け、お味噌汁は…面倒だからワカメと豆腐でいっか。お魚はグリルでしょーあとは、昨日の夜に彼女が作ってたおひたし。
朝からいそいそと彼女のために作る朝御飯支度にも段々と慣れてきた。
そろそろにおいにつられて少しずつ目が覚めてくるかななんて思ったけどまぁ、一段落したし起こしに行こうかな〜

「名無しさんち〜ん、起ーきーてー。今日は一緒にケーキ作んでしょー?」

「ん…おきた、おきた、だいじょうぶ。」

ほっぺたをつつきながら声をかけると起きた起きたと嘘ばっかり(なにが大丈夫なのか全く意味がわからないことはこの際放っておくことにする)目を閉じたまんま言っても説得力ゼロなんだからね。
ついばむようなバードキスじゃ起きなくて、少しだけ長めに小さな唇を奪ってみると少しずつ目が開いてきて

「んっ、…はよ、むらさきばらくん。」

「お寝坊さんおはよー」

ぎゅうっと抱き締めるとすぐに首に手を回してくる。そのまんま抱き起こすとすぐに緩む顔が可愛くてしょうがない。

「おはよおはよー。」

「うん、おはよ。」

「紫原くん、いいにおいする。」

「うん、朝御飯できてるよ〜」

ありがとう、いつもごめんねなんて少ししょんぼりした顔で言われるのもいつものことだけど朝が弱いことは分かっているからオレ的には全然オーケーだしむしろ楽しいくらい。

「はー可愛い可愛い。名無しさんちんまじかーわーいー」

ぐりぐりと頭を撫でつけると子供扱いしないでーなんて不貞腐れてるけどそれすら可愛いだけ。

「紫原くん、なにかいいことあった…?」

「なーんもないし。」

どうやら幸せオーラが出すぎていたみたいだ。こんなのんびりした朝も久しぶりだから、なんだかいつもより嬉しく感じてしまう。
朝御飯食べよっかーと声をかけてそのまま抱き上げるとされるがままに運ばれていく。多分まだ7割くらいまでしか覚醒してない。椅子に座らせるとテーブルの上に並んだ朝食に目を輝かせる彼女。あー可愛い。何度でも言ってしまうけど、可愛い。

「美味しそう!紫原くんのご飯大好き。」

「オレは名無しさんちんのご飯の方が好きだけどね〜」

二人でいただきますをして、食べ始めるとまた幸せそうな顔をしてもぐもぐと食べる名無しさんちんを見てると作りがいがある。あれ?オレ、主夫向きなのかもしんない。

「紫原くん、なんのケーキ焼くの?」

「今日はシフォンケーキにしよ〜生クリームもあるし。」

「シフォンケーキ…!」

一緒に作ると言ってもほぼオレが作るんだけどね。お菓子はオレの担当。今日は簡単に作れるものにしようかなとシフォンケーキを選択したけど彼女の顔を見る限り、当たりだったみたい。
ニコニコしながら何味にするか相談してくる名無しさんちんが幸せそうでオレも幸せ。

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