闇夜の友愛 ―第四次忍界大戦―(完)

□切なさと憎しみと悲しさ
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これほどまでに互いに苦しみ悲しい戦いは無い。だが、やらねばならない。やらなければ被害は広まってしまうのだから。

「ハッ!ハッ!ハッ!ウオオォォォッ!!」

イタチは叫びながらうちは一族をことごとく倒していく。普段、イタチは戦闘で叫ばない。クールに声をあまり出さずに戦うからだ。
しかし、今のイタチは叫びながら倒している。そうしなければ自分の心が折れてしまうからだ。それほどまでにイタチはかなり苦しんでいる。
残りが僅か9人になった時、イタチは自分の過去の記憶を覗いていた。10にも満たない年の頃に戦場を駆け、多くの人の死を見てきた。
まだ幼子であったイタチには酷く苦しみ、吐き気など様々な感情を覚えた。その経緯でイタチは今の性格ができた。
戦争を嫌い、平和を愛する自己犠牲な性格を。サスケが生まれた頃に起こった九尾事件。それにうちはが掛かってると懸念を受けられた。
確かに九尾を操れるのはうちはだろう。しかし、操ったのはすでに死んでいるはずのその創設者。しかも、今のうちは一族は創設者と関わりをもってはいない。
それにうちは一族はその気はない。それなのに疑われた。これほど短絡思考にうちは一族はどれほど苦しんだか。
トドメがうちは一族のクーデターと滅亡である。自分達は戦争の渦中でもないのに命を掛けられ、殺しをしなくてはならなかった。
そしてイタチは自身の手でうちは一族を滅ぼしたのだ。

「あの九尾事件が無ければ、里はもっと平和でそしてうちは一族も滅ぼさずにすんだ」

「いずれ起こることだ。うちはは昔から里から懸念され警戒されていた。滅びるのが早いか遅いかの違いにすぎん」

「だが…!」

「滅びる覚悟、死ぬ覚悟はあった。我らの運命がそれなら従う。血継現界を持つ一族ならではの宿命だ」

「…そうなったのはあのマダラだ。俺もサスケもナルトもヒナタもマダラを許さない。奴は絶対に殺す!」

イタチは怒りを込めながらそう言った。イタチの怒りは普段のイタチからは想像できないほどだ。それほどまでにイタチは怒っているのだ。
しかし、それと同時に血継現界を持つ一族の末路も理解していた。他里では血継現界を持つ一族はほぼ滅亡している。
生き延びた者もいるが大抵は非道で残忍、好戦的で我と一族へのプライドが強い。時たまにひっそりと暮らしたりする者もいる。
力を持つまたはそういう血筋を持つという事は憧れや尊敬以上に恐怖と敬遠が常だ。その理由は何時自分達にその牙を向けてくるかである。
血継現界とはそれほどまでにその血筋を持たない者や力無き者達には危険な存在なのだ。だから、木の葉の里はかなり異例とも言える。
それ故、傲慢な一族は排出しない。たまに稀に傲慢な人間や一族が出てくるが。

「これで終わりにしよう。この悪夢を!」

「そうだッ!この質の悪い…悪夢を終わらせるのだ!さあ…早くッ…!」

「終わらせない…イタチ。貴方の手で、この苦しみを解放する…のよッ!」

フガクとミコトがそう叫び、残りのうちは一族も頷く。イタチは顔を俯かせながら、剣を振るいうちは一族目掛けて跳ぶ。
フガクとミコト以外のうちははイタチの剣と写輪眼の幻術により倒された。

「ハアアァァッ!!」

イタチは慟哭の叫びをしながらフガクとミコトに迫る。フガクとミコトはクナイを構えていたが、イタチとの距離がかなり狭まった時に2人はクナイを構えていた腕を下ろした。
それを見たイタチは目を見開いた。何故なら…フガクとミコトの表情が操られてる顔ではなく、穏やかで優しい笑顔だった。

「すまないイタチ。不甲斐ない両親と一族で。お前とサスケにはいつも辛い思いをさせてしまったな」

「いえ父上。俺もサスケも覚悟の上でこうして貴方方の命を奪ったのです」

「イタチ。私達はあなたを苦しみ続けてしまったわ。ごめんなさい」

「謝る必要はない母上。それ以上にサスケやナルト、ヒナタが幸せだからな」

フガクとミコトはもうすぐで逝きそうながら最後の会話をする。最後の親子の会話だから。

「イタチ。お前にもう一度言っておきたい事がある。サスケにも言付けを頼む」

「はい」

「お前とサスケは俺のいや、一族の自慢の息子達だ。お前とサスケは優しく、そして強い子だ。これからの苦難も乗り越えられるだろう」

「私達が死んでも、貴方達を見守ってるから。だから…その涙を最後にして前に進むのよ」

フガクとミコトの本当の最後の話を聞きながらイタチは涙を流した。話終えたフガクとミコトはそのまま物言わぬ骸と化した。
最後の最後まで2人は穏やかで優しい顔をしていた。イタチは涙を拭いながら先へと跳び走る。
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