闇夜の友愛 ―第四次忍界大戦―(完)

□狭き子の視野を持つ者の終(しゅう)
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「これで逃げられねぇ!!死ねぇーー!!!」

(例え逃げれても、雷影と同じように後方に逃げてもこいつは逃さねぇ!)

複数の発射口からチャクラが収束されていく。水月は死んだと思った。だが…サスケは冷静だった。

「確かにこのままじゃ逃げられねぇな」

「?」

サスケは右手に持っていた刀を上に放り投げた。重吾は理解できずに刀を見る。そしてすぐさまサスケを見ると目を見開いた。
サスケの右手の平に炎の塊が出来ていたからだ。重吾と水月はもちろん、ユラムもサスケの右手の平にある炎の塊を凝視していた。

(な、なんだこの炎の塊は!?なにかの術か!?)

「逝け!焔魂!!」

サスケは焔魂で重吾の腹に直撃させた。重吾はまともに焔魂を食らい、右胸のサスケの右手を引き抜かれながら吹っ飛ばされた。

「ぐああああ!!」

少し吹っ飛ばされた後、小さな爆発が起こった。その爆発は重吾を包むのに充分なほど。重吾は炎に包まれた。

(なんだよ今の術は!?あんな術、見た事もねぇ!しかもあの威力!ヤベェ…ヤベェよ!)

(トモルの螺旋丸に近い…なんだあの術は!?なんであんな面汚しに!クソッ!クソクソクソクソッ!!)

炎が消えると重吾の体は煤けていて特に腹は焼け跡がくっきりと残っている。重吾は呪印状態が消えて前のめりに倒れた。

(つ、つよい…これほどの、奴とは……)

サスケはトドメを刺そうとクナイを構えて投げようとする。

「!」

その前にサスケはユラムの方向から何かを勘づき、後方に跳んだ。すると、紫色をした炎のようなチャクラを纏った巨大な矢がサスケのいた木の枝を薙払った。
もしあのままいてたらサスケはその巨大な矢で体が真っ二つになっていたかもしれない。サスケはすぐさまにユラムの方に体を向ける。
そこには、ユラムを覆うように上半身の巨人のようなものだった。

「…須佐能乎か」

「このオレの攻撃を躱すとはな!なかなか悪運がつよいな!だが、この須佐能乎がでたからにはキサマに勝つ可能性は万に一つ無い!」

須佐能乎…万華鏡写輪眼に開眼し、二つの瞳術を開眼にした者だけが持つもう一つの術。うちは一族が持つ攻防を兼ね備えた超強力な術だ。
この須佐能乎を持つ忍は現在知る限りたったの3人。1人はイタチ、もう1人は今使用しているユラム。最後の1人はもちろん、サスケである。
ユラムの須佐能乎は禍々しく黒い。

「死ねェェェ!!!」

須佐能乎はユラムの叫びに呼応してまるで吠えるが如く弓を引き矢を放つ。その速度は通常の弓矢の矢の速度とは大違いの速度。
しかも威力もかなり高く、木を貫通し抉りとっていく。サスケはそんな矢を躱す。

「うおおおぉぉっ!!!」

ユラムはさらに須佐能乎の矢を連射していく。サスケはそれを全て躱していく。躱していく中、サスケはホルスターから手裏剣を取り出して投げる。
しかし、須佐能乎がユラムを覆っているため当たらない。

「無駄なんだよ!キサマのような面汚しごときにこの須佐能乎を突破する事を!」

「…さすがは須佐能乎か。簡単には倒せない…か」

サスケはユラムの須佐能乎の攻撃を躱しながら対処法を考える。サスケ自身も須佐能乎を使えるのですぐに突破方法がいくつも考えついた。

「所詮キサマのような面汚しではこの真なるうちはのこのオレには勝てねえんだよ!!この須佐能乎を出したまではほんのちょっとだが評価はしといてやる!だから…死ねえええぇぇ!!!」

「煩い奴だな。もうそろそろケリをつける」

サスケは地に降り立ち、土遁を発動させる。すると、ユラムの足場が浮き上がる。

「うおおお!?」

そのまま上昇し、ユラムの須佐能乎を突き抜けた。須佐能乎は消滅してしまった。それを見逃さないサスケはすぐさまユラムの眼前に瞬身で近付き、ユラムを刀で斜めに切り裂いた。

「ぐあっ!」

袈裟斬りで斬られたユラムをさらに蹴りをいれてユラムは木に激突する。そのままズルズルと地に座り込むように倒れた。

「バ、バカな…!?なぜ!?」

「バカなキサマに教えてもしょうがない」

「な、なんだと…!」

この須佐能乎は実は意外と弱点が多い。特に須佐能乎は下からの攻撃には脆い。なぜなら地中は無防備そのもの。
そこから攻撃、または須佐能乎から離されれば無防備を晒されて殺られる。

「キ、キサマごときが!この須佐能乎を知るわけがない!ふざけた口で言うんじゃねぇ!」

ユラムはまた須佐能乎をだそうとチャクラを練る。が、何故か須佐能乎ができる直前で霧散してしまった。

「な、なぜだ!なぜ須佐能乎がでない!」
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