闇夜の友愛 ―第四次忍界大戦―(完)

□狭き子の視野を持つ者の終(しゅう)
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「お前は須佐能乎をどれだけ知ってる。もし理解してるならそんなバカな事はしない」

「な、なにぃ!」

須佐能乎は確かに強大で強力な術。しかし、須佐能乎を具現化させるには大量のチャクラを消費してしまう。さらにそれを維持にもかなりの精神力とスタミナを要する。
どっちにしても、須佐能乎を連続使用や長時間使用など無理なのだ。

「そろそろ…終わりにしようか」

「ク、クソォッ!ぐああっ!」

サスケは刀を鞘から抜いて素早くユラムの懐に入る。ユラムはサスケの忠告も聞かずにまた須佐能乎を発動しようとするが、それよりも早くサスケが斬撃を繰り出す。
ユラムの体はいくつもの切り傷ができていく。

「がっ!ぐぶっ!ごはっ!がああっ!」

さらにサスケは体術でユラムを痛め付ける。腹パンに顎への掌底、肘打ちに膝打ちに蹴りと容赦ない連続攻撃にユラムはなす術もなく痛め付けられる。

「あがっ!」

サスケの後ろ右回し蹴りがユラムの顔面に直撃し、吹っ飛ばされる。ユラムは地に倒れ、のろのろと起き上がる。
それまであった憎悪や傲慢、蔑みの目はユラムにはなかった。

「あ…あぁ…」

「…」

「…ぅ、ぅ、うわああああああ!!」

ユラムの目は恐怖一色に染まっていた。ユラムは見下ろすサスケの目を見て、怯えて逃げようと背を向け走り出した。
だが、サスケはすぐに瞬身でユラムの前に立ち塞がり、逃げ道を無くす。その光景はユラムにとっては奇しくもかつての再現だった。
うちはクーデターの時、ユラムは実家で両親がイタチに殺され死体となった現場を見た。何も知らないただのガキのユラムは無謀にもイタチに駆け出した。
イタチはたったの一蹴りでユラムを蹴り飛ばした。ユラムは壁に激突し口から血を流しかなりのダメージを負った。
ユラムは今にも気を失いそうな目で両親の死をそしてイタチの目を見てしまった。ユラムは恐怖に染まり、殺されたくない一心で実家から飛び出して逃げ走った。
しかし、逃げる道の前にイタチが立ち塞がりユラムを見下ろしていた。ユラムは死にたくないという気持ちで命乞いしながら土下座をした。
そんな姿のユラムにイタチは殺る気が削がれ、その無様な姿に殺る気を失いイタチは幻術で眠らせるだけにして見逃したのだ。

「あ…あぁ…ぁああぁあ……」

「逃がすと思うか?」

サスケの写輪眼がユラムを貫くように見る。まるでユラムの心臓を鷲頭かむように。

「た、頼む!命だけは!命だけは助けてくれ!そこの2人は殺していいから!頼む!殺さないでくれ!」

ユラムは命乞いをしながら土下座をした。その姿はまさにあのうちはクーデターの時の再現。そんなユラムのみっともなく情けない姿を見た水月と重吾は呆れ果て何ともいえない顔になっていた。
自分達が信じ、多少の信頼をしていたユラムがあんな無様な姿を晒しているのだ。しかも命乞いという忍にあるまじき行為までして。
水月はユラムの事などもうどうでもよくなっていた。ただ、自身の懐にある巻き物をいかにサスケに渡して助かるかを模索していた。
重吾は君磨呂が命を駆けてた存在が間違いだと気付いた。そして、大蛇丸と君磨呂は器となる人物を読み違えたと悟った。
ユラムは君磨呂の代わりになどではなかった。本当の器はサスケだったのだと、重吾は思った。
サスケはユラムにゆっくりと近寄る。ユラムの前に止まるとユラムは顔を上げる。

「…た、助けてくれ…」

「…」

サスケはユラムの胸ぐら掴み無理矢理立たせる。突然立たされたユラムは混乱する。そんなユラムにサスケはただ見つめる。そして…

「…!」

「ぎゃああああああああああああ!!!」

なんと!サスケはユラムの両目を刀で切り付けた。ユラムの両目は切り傷で見えなくなり、さらに写輪眼も潰された。
ユラムは完全に写輪眼を無くしたのだ。

「オレの…オレの写輪眼があああああああ!!!」

ユラムは両目を押さえながら後退りする。サスケは容赦なく刀を構える。

「お前に助かるという選択肢はない。貴様にあるのは“死”のみだ。兄貴がなぜ貴様を生かしたのかがわかった」

サスケは淡々とした言い方をしながらゆっくりとユラムに近付く。さながら処刑人のごとく。

「その無様で哀れな姿を見て殺す気が失せたんだろう。だが、俺にはない。貴様は死んで当然の事をしたんだからな」

「た…助け…!」

「       死ね         」

サスケは刀でユラムの首を斬り落とした。ユラムの顔は胴体から離れて地に落ちる。首から血が噴出し、トバドバと出てくる。
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