闇夜の友愛(完)
□表での死
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うちは一族が滅亡してから数日が経ったある日、ヒナタのこの一言から始まった。
「わたし、日向から抜け出したい」
ヒナタのいきなりの言葉にサスケとナルトは目をパチクリさせる。
「急だな。どうしたんだ?」
「だってこれからの事を考えるとどうしても日向が邪魔なんだもん。どうにかして日向から抜け出さないと」
ナルトが聞くとヒナタが日向ともう繋がりたくないと言う。サスケはどうしようか考える。
確かに今後を考えるとヒナタは日向の為と称された行為を受けなければならない。それを考えると確かに繋がりは絶ったほうがいい。
「どうする?サスケ」
「…火影に言っても期待は薄い……っとなると奴だな」
「奴?……もしかしてダンゾウ?」
「正解」
サスケはダンゾウに聞く事にすると言う。ナルトとヒナタはさすがにどうかと思った。
「確かにダンゾウに頼むのは癪に触るが、今のところこいつに聞く以外に手はない」
そう言われてナルトとヒナタは仕方ないといった表情になる。言われてみれば確かにダンゾウ以外に適任者がいない。
「そういう事だ。さっさと行くぞ。こういうのは早く済ませるに限る」
そう言い、サスケ達はダンゾウに会いに行く。
「で、この儂に何の用だ」
「ダンゾウ…アンタに頼みたい事がある」
サスケはヒナタが日向から抜け出したいとそして、その為にはどうしたらいいかと言う。
「………なるほどな」
「どうしたらいい」
ダンゾウは少し思案したあと思いもしなかった解答を言う。
「…簡単だ。死ねばいい」
「「「………は?」」」
死ぬ…いきなりの死ぬと言われ困惑した。
「どういう事だ!てめえダンゾウ!ふざけた事ぬかすと九尾を開放するぞ!」
「まてナルト。ダンゾウの事だ。なにか考えがあるんだろう。違うか?」
ナルトは怒り突っ掛かるがサスケが制す。サスケはダンゾウの考えが読めてきたようだ。
「その通りだ。日向ヒナタ、お前は日向の鎖から逃れたいのだろ?」
「ええ。そうよ」
「だったら簡単だ。死んだ事にすればいい」
「なるほど。そういう事か」
「物分かりがよくて助かる。要するに、表立って死んだ事にすれば日向との繋がりは断ち切れる」
簡単に言えば、暗部に属する日向ヒナタは生きているが、日向一族の娘日向ヒナタは死んだという事にする。分かりやすく言えば表のヒナタは消えるという事だ。
「さすがはダンゾウ。大した策だ。しかし、問題がある。死体はどうするんだ?」
「心配はいらんだろ。日向ヒナタの死体を探さんだろ。他の忍はともかく、日向は探すフリをしてきりのいい所で捜索を中止するだろ」
ダンゾウは日向がヒナタをどうみてるかよく分かる発言をする。ヒナタは不機嫌になるが、ダンゾウの策に賛同している。
「決まりだな」
「なあ、この際俺も死んだ事にしてくれねえかな?」
「俺もそうしたいが、さすがに俺が死んだとなれば、怪しまれるからな。俺は無理だな」
「うずまきナルトが死ぬのは構わんが、同時期だとまずい。時期をずらしてから死ぬ事にしろ」
「わかった」
「それじゃあ、作戦実行だな。善は急げだ」
サスケ達はダンゾウの策に乗った。こうして、日向ヒナタの死…作戦名『ヒナタ表死(ひょうし)』が決行された。
次の日、里中に日向ヒナタが死んだという事件が広まった。死因は自殺だとか事故死だとか他殺だとか噂が飛び交う。
日向はヒナタの死体捜索をするが、案の定僅か三日で捜索を止めた。そしてその日、日向屋敷では宴会が行われていた。
これを知るのは、サスケ達と根に属する暗部のみ。それから数日が経ったある日、ナルトが死んだ。もちろん、この死は偽装だ。
この死も里中に広まる。ナルトの死は里中の人々は喜んだ。あの化け狐が死んだと言い合い喜び、果てには里中で密かに宴会をやる所があるくらいだ。
ナルトには捜索すらなしだ。怪しいと踏んだ火影は密かに調査をする。その後、サスケ達を見つけ真実を知った。
理由を聞くと文句を言ったが、過ぎてしまったのでどうしようもなかった。こうして、ナルトとヒナタは表では死に裏へと徹することになる。