リリカルCAPCOMStrikerS―弐―
□第四十章 無双は男なら憧れるが、やってみるとたまにツマらなくなる
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その頃、ネロはたった1人で悪魔とメカニロイド達と戦っていた。
ネロ「オラアアア!!」
本来1対多数は数の暴力である。なぜなら多数の方が圧倒的に有利であり、たった1人を多数でなぶり殺しにできるからだ。
しかし、逆に1人が多数に圧倒する事を…無双と呼ぶ。無双はその1人が圧倒的に強く、1対多になれてる事だ。
ネロ「オラオラ!こんなもんか?歯ごたえが無さすぎるぜ!」
ネロは大剣レッドクイーンを振り回し、敵を数体吹っ飛ばす。無双の最大の特長は一体一体仕留めるのではなく1人で数、または十数体を葬る事。
一気に蹴散らすのは時間の短縮以上に無駄な時間を掛けずに敵を倒す事ができるからだ。
ネロ「ハッ!この程度か!チィッと歯ごたえある奴はいねえのかよ!」
フリザード「シャハアァァーーッ!ならこのオレが相手をしてやるぜ!」
それまで高みの見物をしていたフリザードが自ら前に出てきた。元々フリザードは前線で戦うタイプで後方で指揮などのまどろっこしい事は苦手なのだ。
ネロはレッドクイーンを肩に担ぎ、楽しそうな表情を見せる。
ネロ「ヘッ!相手はこのトカゲ機械か!いいぜ!お前なら退屈せずにすみそうだぜ!」
フリザード「このオレをそこらへんの雑魚と一緒にすんなよ!シャハァーッ…いくぜ!」
フリザードはチェインバーナーを繰り出すが、ネロは後方にバックステップして軽く躱す。
ネロ「熱いのは苦手なんだ。悪いが、ちゃっちゃと蹴散らしてやるぜ!」
フリザード「調子に乗るなよニンゲン!!」
フリザードは尻尾から炎の弾を三つ噴き出す技、テイルフレイムを繰り出す。ネロはステップを踏みながら軽快に避ける。
そのままネロはリボルバー拳銃のブルーローズを撃つ。
フリザード「ハッハー!そんな古い銃に当たるかよ!」
ネロ「どうかな?」
フリザード「む!」
フリザードはブルーローズの弾を躱しながら、ネロの銃をバカにする。しかし、ネロの的確な射撃によりフリザードの右腕に傷がつく。
フリザード「そんなボロ拳銃でオレに傷をだと!?なるほど…どうやらてめえの銃はただのボロじゃなさそうだ!」
ネロ「こいつは俺の手作りでかなり改良されてんだ。そこらへんの銃と一緒にするなよ」
ネロはブルーローズをクルクル回しながら余裕の表情で言う。
フリザード「なるほど…確かにそのボロ拳銃は普通じゃないな。それは認めてやろう!だが!このオレを舐めるな!」
フリザードはテイルフレイムを連発してくるが、ネロは全て躱す。
ネロ「その尻尾邪魔だな!ぶった斬ってやろうか!」
ネロはフリザードの頭上を跳躍で跳び越え、フリザードの背後に回り込みながらフリザードの尻尾をぶった斬った。
「ぐわっ!やってくれるじゃねえか!」
「これで尻尾からの炎はねえ!後は手から吹き出るバーナーとその襟巻きに気をつければいい」
「ククククク!」
フリザードはまさか尻尾を斬り落とされるとは思ってなかったのか激昂するが、すぐに落ち着きを取り戻す。そんなフリザードの反応にネロは疑問と多少の警戒をする。
挑発もしたのにあまりにも自身の予想の反応と行動の違いに。
「えらく余裕だな。てめえみてえな熱い野郎ならてっきり激昂して激しい攻撃をしてくっと思ってたんだがな」
「確かに尻尾を斬り落とされたのは予想外だ。尻尾を斬り落とされたなんてあのゼロとの戦い以来だからな。だがな…シャハァーッ!」
「!」
なんと!フリザードの尻尾が蘇生した。いくらレプリロイドでも一部を蘇生するというタイプは珍しいのだ。
「オレは尻尾を再生させることができるのだ!いくら貴様が何回も尻尾を斬ったとしてもな!」
「そうかい…ならよ!てめえを真っ二つに斬っちまえばさすがのてめえも再生できないよな!」
「確かにオレ自身が斬られたら破壊されるな!だがな…できるかな!貴様に!」
「ぁあ?なに余裕ぶっこいて…!」
フリザードはまるで待っているかのように構える。ネロは剣を構えながら挑発するが、乗ってこないのでこっちからいこうとする。
しかし、突然の背後の音に気付き振り向いた。それは…ネロが斬り落としたフリザードの尻尾だった。フリザードの尻尾はビタンッビタンッと飛び跳ねながらネロの背後から確実に近付いていたのだ。
ネロは咄嗟に回避して躱した。
「よく躱したな。オレの尻尾、テイルウィップをな!」
「まさか尻尾が自律行動をして俺の背後から攻撃してくるとはな。シグナムやトーレならなかなか危なかったぜ。だが残念だな。俺には小細工は通用しねえ!」