闇夜の友愛 ―第四次忍界大戦―(完)

□敵の計略と予定外
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戦争が始まって数十時間が経過。夜となり敵も味方も一時中断し、束の間の休息を取る事になった。夜営をし、忍連合はその間に負傷した者達の手当てをする。
それと同時に最前線の者達は奇襲に備えて警戒しながら休息を取る。まさに万全である。だが…敵の策はそれを無意味だと罵る行動を取った。
それは白ゼツの能力、触れた相手のチャクラを吸収して本人そっくりに化ける術を使って忍連合を混乱に陥れる策である。
白ゼツの変化は忍達が使う変化とは全然違う。忍達が使う変化は変化した者の性格や癖などを知らなくてはならない。
しかし白ゼツの変化は行動や口調、癖や性格さらにはチャクラまで完全に真似れるのだ。だからどれが本人で偽者なのか全くわからない。
その白ゼツ達が各忍連合部隊に潜り込み奇襲し混乱していた。各部隊は混乱の極みで誰もが警戒を強めて手を出せない状態に陥っていた。







その頃、サスケはかなりの距離を走り跳んでいたが今は木の枝の上で休息を取っていた。先程までかなりの数の敵を屠っていた。
しかし、夜になり敵は一時撤退したため体力回復のため朝になるまで休む事になった。

(おそらく敵はこの休息を利用してくるだろうな。油断はしない)

もちろんサスケは油断などせずに警戒しながら体をしっかり休める。木に背にして座り、腕を組んで目を閉じる。
どれくらい経ったであろう。サスケは突然目を開けて起き上がる。サスケは写輪眼を発動させながら突然感じた気配がした方向を睨む。
手には刀がある。いつでも迎え撃つ準備はできている状態だ。

「サスケ!」

「…」

気配の正体はイタチであった。サスケは写輪眼を消して構えを解いた。イタチはサスケの隣りに降り立つ。

「兄貴か…」

「ああ」

「ナルトとヒナタは?」

「まだ合流していない。てこずっているのだろう。俺もてこずったからな。敵の卑劣な作戦に」

「…兄貴は休みなしで俺に追い付いてきたのか?」

「ああ…敵はこの夜を利用して攻撃してくる可能性があるだろう。今は気配はないが、危険なのには変わりない」

イタチは淡々とした表情でサスケと話す。サスケもイタチと同じ表情で喋りながら背を向ける。

「ナルトとヒナタ。無事に合流してるといいがな」

「ああ。そうだな。そうだサスケ。父上と母上から伝言だ」

「なんだ?」

サスケは背を向けていたから気付かなかった。イタチの表情が無表情から薄笑いをしていた事を。さらに右手にはクナイを持ちサスケの背に向けて刺そうとしていた。

「…」

「……ガハッ!」

サスケの背にクナイが刺さる直前、サスケは鞘から刀を抜き逆手に持ち背後にいるイタチに突き刺した。サスケの目は黒目から写輪眼に変わっていた。

「な、なぜ……なぜ僕が偽者だとわかった!?」

イタチの姿がみるみる変わっていく。イタチの正体は白ゼツであった。白ゼツは驚いた。なぜなら自身の変化は完ぺきである。
にもかかわらずサスケはあっさりイタチを偽者だと看破した。

「…俺と兄貴の距離はかなり離れている。加えて俺が相手してたのは雑魚共、兄貴はうちは一族だ。いくら兄貴でもうちは一族を倒すのには時間が掛かる」

白ゼツは納得をしてしまった。確かにサスケが相手をしていたのは自分の分身達と穢土転生で蘇生した人形共。
サスケの実力はそいつらの戦いで理解した。対してイタチはイタチ自身が滅ぼしたうちは一族。イタチ自身、ためらいもある上にうちは一族は実力者揃い。
時間が掛かるのは当たり前だった。

「そ、それだけで僕の変化をあっさり…」

「もう一つ付け加えるなら、アンタから九尾のチャクラを感じない」

「それは…どういう!?」

「俺達の獲物は九尾のチャクラで造り出した妖物だ。その獲物には俺達にしか感知できないようにチャクラ洩れが施されている」

サスケ達の獲物は詳しくは言ってなかったのでここで説明しておこう。設定であったが、サスケ達の刀や剣は九喇嘛のチャクラで造った獲物なのだ。
それ故にいろんな能力が付いている。そして、最大の能力は互いを見失わない事だ。この獲物は巻き物に入ってようとそこからチャクラ洩れが出て本人だと確認できるのだ。
これは敵に引っ掛からない事と確認である。忍の世界は騙しや不意打ちなど非情の世界だ。ゆえに信頼するための処置なのだ。

「そこから推測すると、お前達は人間は誰もが携帯する獲物には化けれるようだが、特別な獲物は化けれる事ができないようだな」

(こ、こいつ…僕が特別な武器に化けれないと!)

「それにしても…どうやったらそこまで巧妙に変化できたのかな?」
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