闇夜の友愛 ―第四次忍界大戦―(完)

□狭き子の視野を持つ者の終(しゅう)
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しばらく睨み合った後、サスケとユラムは同時に動いた。同時に迫りサスケは両手にクナイを逆手に、ユラムは腰にある刀をそれぞれ獲物を持ちぶつかる。
最初は拮抗していたが、ユラムが押し始める。サスケは距離を取るためにわざと弾かれる。

「ハアッ!!」

ユラムは追撃しに迫り刀を振るう。サスケはそれをクナイで弾いていく。十何合くらいかしたところでまた2人は互いに距離を取る。

「ふん!貴様も写輪眼に開眼していたようだな。だが!貴様のその腕では宝の持ち腐れだ!その目を抉り取り!俺の足で踏みつぶしてやる!」

「お前は吠えるしか能がないのか」

「ハッ!いくぜェ!!」

ユラムはようやくサスケの目が写輪眼だと気付いた。しかし、ユラムはサスケの写輪眼を宝の持ち腐れと蔑む。
もっとも、それはサスケが言いたい言葉である。それをユラムはまだ気付かない。ユラムは刀をしまい、少し跳躍しながら印を結ぶ。

「火遁・鳳仙花の術!!」

ユラムは鳳仙花を放つ。鳳仙花と同時にユラムはサスケを写輪眼で睨む。

(幻術にハメる気か。少し乗ってやるか)

サスケは鳳仙花を跳躍し躱す。そのままサスケは細い木の枝を掴んで一回転して斜め下に降りるように移動して木の枝に着地する。
着地と同時にサスケは顔を上げると周りが黒い鳥のような物が宙を舞あっていた。

「これは…」

「もらったああぁ!!!」

幻術に掛かったサスケを見て、ユラムは刀を抜いてサスケ目掛けて突っ込む。

「(この程度の幻術…つまらん)…ハァッ!!」

「な、なにっ!?」

サスケはあっさりとユラムの幻術を解除した。ユラムは驚いているが、これは当然だ。その理由は簡単。ユラムは幻術が得意ではない。
幻術を破るのは多少得意だが、幻術をかけるのは不得意なのだ。ユラムは基本、幻術以外を重点にしていた。だから、幻術はからっきし。
しかも、最近になって万華鏡写輪眼を会得したが、月読はほんのちょっとしか発動できないのだ。だから、こうもあっさりと幻術を破ったのだ。

「くだらない幻術だな」

「ふん!幻術を破ったくらいでいい気になるな!」

ユラムはなんとか冷静になりながら刀で斬りつけてくる。サスケは後方に跳躍してなんとか躱した。ユラムは手裏剣数枚を左手で取り出してサスケ目掛けて投げ付ける。
サスケはクナイで弾いていく。サスケが地に着地して顔を上げるとユラムが迫ってきていた。

「うおおおお!!」

「フッ!」

またサスケのクナイとユラムの刀がぶつかる。徐々にサスケのクナイにヒビが入り、砕けそうになっていく。サスケはバックステップで距離を取りながら砕けそうなクナイをユラム目掛けて投げる。
ユラムは刀で弾きながら左手にチャクラを集中する。

「くらえ!」

ユラムは千鳥千本を数枚投敵してくるが、サスケは紙一重で躱す。サスケは手裏剣をホルスターから取り出して投げようとする。

「グッ!」

その前にユラムの千鳥鋭槍がサスケの左肩を掠めた。サスケは左肩を押さえながらユラムを見る。

「くくくっ…所詮はうちはの恥さらし。真なるうちはの力の前では無力なんだよ!」

「…まだだ」

サスケは痛む左肩の苦痛に耐えながら印を結んでいく。ユラムもサスケと同じ印を結んでいく。

「「火遁・豪火球!!!」」

2人の豪火球が激突し、衝撃を生み出す。中心は轟々と燃え盛り、周りまで燃やす勢いだ。サスケは必死に豪火球で押しだそうとしている。
ユラムはそんなサスケを嘲笑うかのように左目を瞑る。

「天照!!!」

左目を開いて天照を発動させる。ユラムの豪火球に黒い炎が付属され、勢いがさらに増す。サスケの豪火球は完全に押されてそのまま飲み込み、サスケをも飲み込んだ。

「ぐああああ!!」

サスケはユラムの天照を食らい、のたうち回る。天照は術者が消さない限り消えない。黒い炎はサスケを蝕んでいく。そんなサスケをユラムは嘲笑い、見下す。

「わかったか。これが真なるうちはの力だ!貴様では絶対に辿り着けない極地に俺は立っているのだ!」

「があああ!!」

「ふん!反論する言葉もでないか。ならば!そのままこの俺に歯向かった己の不幸を呪うがいい!」

ユラムはサスケにゆっくり近付き、刀を抜き放ちサスケの右肩からバッサリと斜めに切り裂いた。サスケは声を上げる事もかなわず木から落下し、地に落ち叩き付けられた。
サスケ全体を覆っていた黒い炎は消え、目を見開きもの言わぬ骸となったサスケが大の字になって仰向けになっていた。

「クククッ…クックック…ハーッハッハッハッ!!」
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