創造神の誕生(前) ―U―

□第58話 運命の世界
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リョウSIDE



さて…着いたか。周りは廃墟になっており、炎が煤っている。空を見ると黒い太陽が立ち上ぼっている。間違いない…ここは冬木市だ。
しかも原作の10年前第四次聖杯戦争終了後だ。…雨が振ってきたな。とりあえず…辺りを散策するか。もしかしたらアイツに会えるかもな。
……いたよ。1人の少年が足取り悪くも歩いている。あの赤い髪は間違いない。原作主人公の【衞宮士郎】だ。俺は士郎と同い年に変化する。
服はボロボロで体は汚れている上にかなり弱っている。俺は士郎に近付く。

「大丈夫か?」

「うっうっ…き、きみは?」

「喋らないほうがいい。少し…!」

気配に気付き、後ろに振り向く。するとそこに【衞宮切嗣】がいた。



切嗣SIDE



まさか…こんなことになるとは…聖杯を破壊したのに…まさかこんなことに。僕のやった事は…ムダに終わったのか?
…違う。そんな事、あってたまるか!僕は生きている人を探す!誰でもいい!生きている人はいないのか!アテもなく探していると…いた!
子供だ!しかも2人!1人は赤い髪の少年だ。服はボロボロで体も汚れている。もう1人は黒い髪の少年だ。さっきの少年とは逆で服はまだきれいで体は汚れていない。
僕は2人の子供に近付く。

「君達…大丈夫かい?」

「…俺は大丈夫。だけどこの子が…」

赤い髪の少年を見る。息も絶え絶えで今にも死にそうだ。このままでは死んでしまう!
僕は少し考える…これしか方法がない。僕は胸に手をやり、ある物を取り出す。

「おっさん…何を」

「ぐっ…少し静かにしてくれないかな」

僕は自分の体の中にある宝具“全て遠き理想郷(アヴァロン)”を取り出し、赤い髪の少年の体の中にいれる。これでこの少年は助かるはずだ。

「いったい何をしたんだ?」

「…このことを黙っててくれないか?」

「…わかった」

「ありがとう」

僕はもう1人の黒髪の少年に感謝する。

「この子を…病院に連れて行こう」

「うん」

僕は赤髪の少年を担いで病院に行く。黒髪の少年も付いてくる。おっと…忘れる所だった。

「そういえば少年。名前を言ってなかったし聞いてなかったね。僕は衞宮切嗣。君は?」

「…創神リョウ」



リョウSIDE



切嗣と共に病院に行き、士郎を医者にみせる。とりあえず命の別状はなかった。だが…記憶が少し欠落しており、士郎の家族を忘れている。
俺は廊下にあるイスに座っている。数時間後、切嗣が来る。

「リョウ君。あの子の所に行こうか」

「わかった」

士郎がいる病室に入る。そこには士郎以外にもたくさんの子供がいる。結構生きているようだ。

「士郎君…だね。君とリョウ君2人に聞きたい事があるのだが…」

確か…養子の話か。

「施設で暮らすか…知らないおじさんの僕と一緒に暮らすか。君達2人はどっちがいい?」

やっぱりか…しかも俺もか。これは好都合だ。もちろん士郎は切嗣と暮らす方を選ぶ。俺も切嗣と暮らす方を選ぶ。
数日後、士郎は退院してその時に互いに自己紹介する。そして切嗣と士郎とともに武家屋敷、藤村組の家に住む事になった。
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