創造神の誕生(後) ―StS〜ネギま―
□なのは編 第44話 ママは何人?
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3人称SIDE
機動六課がヴィヴィオを救助して次の日。リョウとなのはとシグナムは車に乗って聖王教会に移動していた。
「悪いなシグナム。運転やらしちまって」
「気にするな。私だって運転くらいできるさ。それに気になっているのであろ?」
「はい」
救助して安全な場所で治療した結果、ヴィヴィオが魔導師素体だという事がわかった。つまりクローンのような物だ。
とりあえずは聖王教会でしっかり検査した後、機動六課で保護させる予定。どうやらヴィヴィオの事はスカリエッティが詳しいようだ。
それを聞く為に3人はヴィヴィオを保護で受け取りに行くようだ。
「スカリエッティが知ってるという事はなにかの関連があるのかな?」
「だろうな。そして、転生神もレリックだけでなくその娘も狙っていたと私は思う」
「いずれにしても、アイツから聞く為にもまずはあの娘をこちらで預けてもらうようにしないとな」
リョウの言葉になのはとシグナムは頷き車を走らせる。その時、突然聖王教会から通信がはいってきた。
『こちらシャッハ!突然すみません』
「どうしました」
『緊急事態です。すみません、あの娘が突然部屋から逃げました!ちょっと目を離したすきに!』
どうやらヴィヴィオが病室から外に出たらしい。その報告を聞いた3人は急ぐように車を走らせた。到着すると厳重警戒されており教会から逃げられないようになっている。
(これじゃあまるで危険人物扱いだな。聖王のクローンだが見た目も中身もまだ幼子だぞ。だからアンチにされやすいんだ)
「お待ちしておりました!」
そこに現れたのは【シャッハ・ヌエラ】カリムの護衛にしてシスターである。普段はおとなしくも口五月蠅いシスターだが、激情になったり危険だと感じたら短気で短絡な思考になりやすい人物である。
その為に無意識だが周りによくない発言をしてしまう困ったシスター。
「あの娘は見つかりましたか?」
「現状ではまだです!しかし、すぐにここら一帯を封鎖したのでまだ病院内にいる可能性は高いです」
「わかりました。手分けして探しましょう!」
なのはが手分けて探すように言うと全員頷き、ヴィヴィオを探しに行く。リョウはすぐに中央の庭に移動する。
(原作でもそこにいたからな。それにすでにヴィヴィオの魔力も感知ずみ。さっさと保護するか)
中央の庭に到着すると予想通りそこにヴィヴィオがいた。リョウはゆっくり近付き、怖がらせないように笑顔で話し掛ける。
「や」
(ビクッ)
「こんにちは」
「あ…う…」
リョウはゆっくりゆっくりとヴィヴィオに近寄り、しゃがんでまだ少し怖がっているヴィヴィオの頭を優しく撫でる。
撫でられてヴィヴィオに怯えがなくなり逆に安堵が浮かぶ。
「うぅん…」
「もう大丈夫だよ。どうしたんだい?こんな所に迷って」
「……ママ」
「?」
「ママがいないの」
ヴィヴィオは落ち着いていき、リョウの質問に答える。リョウはそれに納得する。
「うんわかった。一緒にママを探そうか」
「…うん」
「それじゃあ失礼するな」
「わっ!」
リョウはヴィヴィオを肩に乗せて肩車をする。ヴィヴィオは喜んで笑っている。
「高い高ーい!」
「このほうが探しやすいだろ?それじゃあママを探すぞ!」
「うん!」
リョウはヴィヴィオを肩車に乗せて少し散歩しながら庭から出ようとする。その出る手前でシャッハがデバイスを構えて対峙していた。
そんなシャッハを見てヴィヴィオは怯えている。
「…はぁ。シスターシャッハ、何のつもりだ?」
「その娘から離れてください!その娘は危険です!」
「…はぁ。あのなぁ、確かにすでに力を使いこなして悪意があるならその子どもは危険さ。だが、この娘は力の使い方も知らなければ中身もただの幼子だぞ。こんな娘にどこに危険があるんだよ。危ないから少し下がっててな」
シャッハはリョウをヴィヴィオから離れるようにと言うが、リョウは拒否する。リョウはヴィヴィオをただの子どもだと言い害は無いと言う。
そう言いながらヴィヴィオを下ろして怖がっているので慰めるように頭を撫でる。
「その子は人造魔導師です!違法で造られた存在!そういう存在は危険です!違法で造られた存在など以ての外です!そういう存在はしっかりと管理し監視しなければなりません!」
「今、本音を言ったな」