闇夜の友愛 ―第四次忍界大戦―(完)
□切なさと憎しみと悲しさ
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「わからないなら教えてあげよう。今のこの死体は僕の意のままさ。僕の名前はカブト。君達死体を操る者の名さ」
カブトに操られた1人の口からそう言い、3人はわけが分からないといった表情になる。
「確かに…九尾の人柱力の言う通り君達は頭が悪いようだ」
「な、なんだと!」
「君達に逃げるなんて選択肢はないのさ。君達は僕の操り人形。君達には自我と自由を与えてやったがこの程度とは。ま、少し想定外だが予想範囲内だけどね」
カブトの揚力のない声に残った4人は恐怖を覚える。まるで自分達の心臓を鷲頭かみされたかのように。
実際にそうであるのだが。
「オ、オレ達になにをしたんだ!!?」
「簡単なことさ。君達の自我と自由を奪い、こちらで使うからさ」
要するに完全に操り死体人形になってもらうという事だ。それに4人は絶望する。
「な、なんだと!?」
「な、なぜなんだ!!」
「なぜって君達の目的は九尾の人柱力、うずまきナルトの能力を調べてもらう為の捨て駒なんだよ」
「そ、そんなばかな…!」
「ふ、ふざけるな!」
「君達と長話をする気はないよ。そろそろ君達の自我と自由を消させてもらうよ」
「い、いやだッいやだああああ!!」
「俺達は死にたくない!」
「自分でいたいんだああ!!」
「や、やめろおおおお!!」
「なにを言ってるんだい?君達はすでに死んでいるのだよ。死体が生きたいなんてどんな冗談だい?それじゃあ……さようなら人格さん」
カブトの言葉を最後に4人の意識は完全に途切れ、4人の目は操られた目になり、ゆらりとナルトが向かった方向に体を向ける。
「逝きたまえ。ふっふふふふふ……」
操られた4人はナルトの向かった道に走り跳ぶ。ナルトはかなりの速度で走り跳んでいる。
「…」
その時、ナルトは後方から気配を感じ向きをかえて構える。そこに現れたのはさっき、怯え逃げてた死んだ4人の木の葉の忍だ。
しかし、目に意思がなく無表情。しかも怯えや恐怖などの感情が完全に欠落している。
「術者に操られたか。無様だな」
ナルトは哀れむ事も罵倒する事もなく淡々と言い放つ。そこにあるのは当然の末路だと言った感じだ。ナルトは容赦なく尾獣モードになる。
「時間は掛けねえ。一瞬で片付ける!」
そう言った瞬間、ナルトはほんとに一瞬で4人の敵をぶっ飛ばし倒した。ナルトは一瞬の間に4人の敵を尾獣モードで2本の腕と2本のチャクラの腕を使って螺旋丸を使った。
これは尾獣モードを使って多数の相手をする為に使用する戦法だ。それを使ってナルトは4人同時に螺旋丸を食らわせたのだ。
敵はもの言わぬ骸へと返り、ナルトはそれを見もせず先に跳んだ。
4人の木の葉の忍がカブトに操られている頃、イタチはうちは一族の半数以上を倒していっていた。イタチは穢土転生の能力を知っているので素早く蹴散らす事にした。
最大の理由はうちは一族の強さだ。自身の一族の強さは自身がよく知っている。もし万華鏡写輪眼が備わっていたらさらに厄介極まりない。
だからこそ、イタチは速攻で倒す方法を選んだのだ。それが功を喫しうちは一族の半数近くが攻撃や反撃する間もなく倒されていく。
「その…調子だ…イタチッ……早く、俺達を…」
「わかっている」
フガク達の人格は操られようとしているが、何故か不完全な状態だ。おそらくは精神力が意識を奪われるのを拒んでいるのだろう。
だが、それは同時に自分達はイタチに殺されるのを見せられるのだ。それを覚悟でフガク達は意識を保っているのだ。
「うおぉっ!!」
イタチは剣でうちは一族2人を同時に切り裂き、そのまま流れる連続斬撃で4人を切り裂いた。イタチを殺ろうと5人のうちは一族の内、3人が火遁の術を残り2人が手にクナイを持ち刺そうと接近してくる。
イタチは火遁を食らい、クナイが背中に刺さる。だが、次の瞬間イタチは爆発した。
「影分身で分身自爆か!」
「そうだ」
火遁を放った3人の背後から3人に影分身したイタチが1人は剣で1人はクナイで1人は火遁・豪火球で3人を攻撃する。
「さすがにこの剣以外で殺っても再生してしまうか」
イタチの口調は平然としているが、表情は苦悶そのもの。8年前の同胞殺しは里の為、平和の為に自らの心を殺してこの手で父を母をサスケを除く一族全て命を絶った。
そして父と母と一族は里の為に死を覚悟し死んだのだ。だが、今回のは一族は望まぬ戦いを強制させられ。イタチはそんな一族を止めようともう一度、一族を殺す。