闇夜の友愛 ―第四次忍界大戦―(完)
□敵の計略と予定外
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「!!」
サスケはゆっくりと白ゼツに顔を向ける。白ゼツはサスケの眼を見てしまい己の迂闊を呪った。サスケの眼は写輪眼。
つまり幻術にハメたのだ。白ゼツは油断と不意打ちの失敗での気の緩みであっさりと掛かってしまったのだ。
「さて…いろいろと教えて貰おうか。お前達が何者であの死者を操ってんのは誰なのかをな」
「…はい」
「じゃあまずはどうやってそんな完璧に変化できたのかを」
「…僕に触れてチャクラを吸い取れば簡単に変化できるんだ。見破る事は不可能に近い」
「なるほど。お前達が変わった能力の忍なのがよくな。それで…お前達は何者だ?」
「僕は柱間の細胞で造られた人造人形。だから…」
「柱間…初代火影の事か」
(なるほど…こいつの能力の正体は初代の木遁か。それにしても初代の細胞か。初代とマダラ…これはなにか結び付きがあるな)
サスケは白ゼツを尋問しながらいろいろ考えていた。特に初代とマダラの事を。
「次に穢土転生を使っている忍を教えろ」
「…薬師カブトだよ」
「カブト?」
(確か…大蛇丸の腹心だったな。そいつが?どうやって?わからん)
サスケは次に穢土転生を使った忍の事を質問すると、白ゼツはカブトだと答えた。サスケは表面では無表情だが内心では多少驚いていた。
何しろ自分の知るカブトは禁術を会得してるとは思わなかったからだ。しかも大量の死者をだ。
(そういえば大蛇丸は人体実験を使っていろいろしてたな。カブトは自身に実験をか。厄介で面倒な事を)
サスケはカブトを厄介な敵だと認識した。放っておけばこっちが不利になるのは明白だ。何としてもマダラより先にカブトを倒すと決めた。
「ご苦労だったな」
(おそらくナルト達にも俺達に化けたこいつらが現れるだろうな。ま、あいつらなら引っ掛からないな。それにしても災難だったなこいつは…俺達を煽らせるだけで殺られちまうんだからな)
サスケは無表情で木に寄り掛かり目を閉じ眠った。
朝、日が昇った頃サスケは起き上がりまた走り跳んだ。その間にも敵はわんさかでたがその度にサスケは刀で斬殺していった。そして、ちょうど日が真ん中に達した時それは訪れた。
「…」
(なにかが近付いてくる)
サスケは正面から何者かが来ているのに気付いた。いつでも迎撃できるようにクナイを構える。
「…」
「!」
姿が見えたと同時にサスケと何者かがクナイ同士がぶつかる。その何者の正体は…
「…お前は」
「貴様は!」
互いの姿を確認した2人は距離を取り、改めて全身の姿を見る。
「(確か…)…ユラム」
「サスケ」
何者の正体はうちはユラムだった。ユラムは万華鏡写輪眼を開眼させダンゾウを殺した。そのままカカシにも万華鏡写輪眼で挑んだが、多用により失明寸前になりかけた。
マダラはユラムに永遠の万華鏡写輪眼を付ける為に手術を行い、暫くは慣れるまで安静にしていた。だが、戦争が始まって二日目の朝に完全に永遠の万華鏡写輪眼を手に入れオリジナルの白ゼツを殺して、木の葉を潰す為に動いたのだ。
そして、その移動中にサスケと出会ったのだ。
「貴様がここにいるなんてな。貴様は実力がないから参加しないと思ってたんだがな。どこに行こうとしている」
「(…まあ、話してもいいだろう。正直どうでもいいしな)…マダラを殺しに」
「フン!所詮はうちはの面汚しか!貴様はマダラが何者なのか知ってか!」
「うちは一族の創設者だろ?俺にとってはどうでもいい事だ」
サスケの淡泊な回答にユラムは鼻で笑った。
「マダラを殺すだと?貴様のような面汚しがか?」
「……貴様はどこに向かおうとしている」
「無論、木の葉だ」
ユラムの目的は木の葉への復讐。うちはを陥れ、滅ぼした木の葉への。
「貴様は知らんだろう!うちはは木の葉にクーデターを仕掛けようと計画していた。うちはがこの世界を支配するために!だが、木の葉はそれを知りうちは一族を滅ぼした!イタチの手によって!」
(随分曲解した真実だな。マダラか。ま、こんな頭が餓鬼のこいつには有効だな)
「木の葉は間違った!うちはは世界の為にクーデターを起こそうとしていたのに!木の葉の奴等は自身の身のかわいさに俺達一族を滅ぼしたんだ!」
ユラムはうちは一族を美化と木の葉が腐った国だという言い方で喋る。サスケはただただ聞くだけ。
「うちはこそがこの世最強!うちはこそが世界を支配できる!それを恐れた愚かしい木の葉はうちはを滅ぼした!」