闇夜の友愛 ―第四次忍界大戦―(完)
□己という自分
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サスケはカブトを挑発しながら写輪眼で探す。しかし、眼に写るのはあちこちにチャクラがありわからない。
「サスケ、気をつけろ。チャクラがあちこちにある…どれが本物か分からんぞ」
「流動的に肉体変化する能力だよ。体の体液を使って分離する…脱皮に見えるのはそのせいだね」
須佐能乎で掴んでいる蛇が液体になって溶けていく。
「これは鬼灯一族の肉体変化能力を調べ応用し生まれた技術だ」
この能力はサスケが戦った水月と同じである。ただ、サスケにとってはどうでもいい事。重要なのはこの能力を持ったカブトをいかに攻略するかである。
「そしてかねてよりボクが持ってる圧倒的回復力…と言ってもこれは元々うずまき一族の女の体を調べ得た回復技術…」
「うずまき一族だと?生き残りを見つけて実験したのか」
「うずまき一族の血を継ぐ者は髪が赤いのが特徴でね。生命力はゴキブリ並だよ」
ナルトを除いたうずまき一族は全員髪が赤いのだ。長門とユラムの元仲間の香燐もうずまき一族の血を継いでいるのだ。
だからこそしぶとく生きていたのだ。長門は死んだが。
「もう一つ能力があるのさ。実はね。これから話すもう一つの能力を持つ人物と二つの能力を持った2人の人物はユラムのお仲間だったのさ」
ユラムの仲間、水月と香燐と重吾である。そうこの3人は特に特殊な能力の持ち主なのである。特に重吾の能力は恐ろしいのだ。
「とにかく…あの3人を選んだ彼はお目が高かったよ。ま、結局彼は何も知らずに死んでしまったけどね」
「…?」
「この忍世界で才能の無い者は存在すら否定されるけど…才能が無いなら無いである所から奪い、己に付け足していけばいい…」
「重吾…ああ。確か呪印のオリジナルだったな。大蛇丸から呪印でも貰ったのか?」
「違う…あんなものはただの付け焼き刃さ!その力だけは己の体に納めた…龍地洞でね!」
「龍地洞だと!?まさか…!」
龍地洞という場所にイタチは勘づいた。そこがどのような場所で、なにを会得するのかを。
「そう、見つけたのさ…!妙木山…湿骨林と並び伝えられる伝承のその場所を!大蛇丸様だけじゃない。このボクも行きつき、白蛇仙人の元で修業し身に付けた!ついに大蛇丸様を超えたんだよこのボクが!」
サスケは須佐能乎を発動させてユラムと同じ弓矢を出して矢を放つ。
「サスケ焦るな!」
「…」
「…!?」
サスケとイタチの眼に写ったのはサスケの矢を躱したカブトの姿。
「この矢を躱すか」
「感知能力が今までの比じゃなくてね…自然エネルギーがボクの味方をしてるのさ」
「…自然エネルギー」
(…こいつやはり…)
2人はカブトがどうなったのか気付き、その特性も看破した。誰も聞いてないのにカブトはベラベラと喋る。
「いいかい…元々重吾の一族は自然エネルギーを体に取り込む特別な体を持っていた。それがあの暴走の秘密さ…急に強くなり荒々しくなる。大蛇丸様は重吾の暴走実体に目を付けたんじゃなく、一族の力の由来に目を付け調べていたようだ」
要するに大蛇丸は力が強くなるが暴走する呪印ではなく能力そのものの由来に目を付けたのだ。それが自然エネルギーなのだ。
「そしてついにその力の源を探り当てた。そこが龍地洞だったのさ。大蛇丸様は直ぐにその力を得ようと試みた…が、それに耐えうる体をまだ持っていなかった。だから」
「「!?」」
「このボクのように完ペキな仙人仕様にはまだ成れなかったんだよ彼も!」
「…そうかやはり…仙人モードの力を」
カブトは仙人モードを手に入れたのだ。他人の能力を付属していった事で。
「なるほど…仙人モードか。ただの蛇と思ってはいけないな」
「よくわかっているじゃないか。ボクはもう蛇ではない…完全な仙人の力は蛇を脱皮し…」
「!」
「龍へと昇華したんだよォ!!仙法・白激の術!!!」
カブトが術の名前を言うと目になにかが掛かりサングラスのようになった。それは蛇の角膜である。視界を閉じて光を遮る。
そして口から龍の形をしたチャクラの塊を放つ。手にはなにか球がある。サスケとイタチは互いに近寄り構える。
「「!?」」
龍はとぐろのように身を丸めていく。すると球が弾けた。
「!!」
すると、強烈な光と音で2人の視覚聴覚を封じた。この術の正体は…空気振動を起こして感覚を麻痺させ、動きを止める術なのだ。
(耳と骨がきしむ!これでは攻撃できない…!)
(カブトは仙人モードだから動けるはず…なら、奴の狙いは…!)