ハイスクールD×SKL
□第三話 天然シスターともう一人の人格
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オカルト研究会に入部して数日、イッセーは休日に公園のところでこけている金髪のシスターを見てしまった。
別に見捨ててもよかったのだがなんとなく気になったのでつい手をさしのばしてしまった。
「おい。大丈夫か?」
「は、はい!大丈夫ですぅ!」
どうやら外国人らしく、イッセーはすぐにこの金髪シスターの国の言葉で話す。そばに旅行鞄が落ちており中身が散乱している。
「あうぅ…ありがとうございますぅ」
「日本語喋れねえのに何しに日本にきたんだ?旅行か?」
「いえ…実はこの街に赴任してきたのですが…道に、迷ってしまって」
イッセーと金髪シスターは散乱した鞄の中身を片付けながらここにきた理由を話して聞いた。イッセーは何しに赴任してきたのか全く意味不明だった。
シスターが赴任といえば教会だろうがこの街の教会はすでに無人の廃墟に近い。そんなところになどおかしいにも程がある。
さらに天使の長である“ミカエル”は認めているが天使側や教会の面々は自分を毛嫌いしている。そんな教会がシスターをたった1人赴任させるなど腑に落ちる。
「あ、あの!ありがとうございます!私の名前は“アーシア・アルジェント”といいます!よろしければアナタの名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
「…兵藤一誠。イッセーと呼べ」
「イッセーさん、ですか。あの…もし、よろしければこの街の教会がどこにあるかお教えしてもらってもよろしいでしょうか?なにしろこの街に来たばっかりで、あと…日本語がわからなくて言葉も通じなくて」
やっぱり迷子かと理解とせめて日本語覚えてからこいよと心の中で思った。こんな天然で世間知らずなシスターなど見たことがなかった。
だがそれと同時に興味をもった。あの廃墟当然の教会になにがいるのかを。
「ま、いいだろう。別に暇だったしな」
「ホ、ホントですか!ありがとうございます!これも神様のお導きですね!」
どうやらこのアーシアは生粋の信者のようだ。それも純粋なシスターを見たのはイッセーは初めてだった。
イッセーは案内しようとするが、アーシアが勝手に公園に入っていった。公園を見るとこけて膝を擦りむかせて泣いている子供がいた。
アーシアはその子供に近付いて手を膝に向けてかざして当てる。すると手のひらが光、子供の怪我が見る見る治癒して治っていく。
『こいつは…』
「はい!これで大丈夫ですよ!」
「ありがとうお姉ちゃん!」
イッセーはアーシアの使った力が神器だと気付いた。それも治癒タイプという完全に珍しい神器。治療してもらった子供はアーシアにお礼を言い母親のもとへと走る。
「その力…」
「治癒の力です。神様からの贈り物なんです。素敵な力なんです!」
イッセーはその治癒の神器がアーシアに似合うと思った。その後、アーシアの手を掴んで教会まで案内する。
アーシアは顔を真っ赤にしてアワアワしていたがイッセーはまた迷子にならないようにと転ばないようにというための行為である。
「ここだ」
「ここですか。ありがとうございます!」
イッセーは案内を終えて帰ろうとするが、アーシアがお礼をと言うが断り別れた。その帰りにイッセーは教会に堕天使と教会の者の気配を感じた。
しかも二つは知ってる気配であった。おそらく隠れてなにかを企んでいるのだろう。イッセーは自身に降り懸からなければどうでもよかったのでそれだけにとどまった。