究極伝クロスゾーンスーパーZ
□第9話 組織は基本上から目線が当然だが、目線を合わせたら意外と普通だったりします
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フェイトが部屋から出て扉が閉まる音を聞いた瞬間、雰囲気が変わった。厳格な雰囲気は変わっていないがそれに少し儚げな雰囲気が混ざる。
プレシア「どうかしら?あの娘は?」
ゼルダ「…よくやっています。地球にはジュエルシードを発掘した子がいてその回収に協力する娘や私達の仲間達がいるにもかかわらずに」
ピーチ「ただ、少し張り切りすぎね。認めてもらおうと必死すぎて。こっちが痛々しいくらい」
プレシア「そう…あの娘にはツラい目に合わせるわ。これからもさらに」
プレシアの変化にアーシアなど知らない者達にはびっくりするものであった。その顔は一介の母親の顔。その理由はまだジュエルシードを探しに地球に行く前に溯る。ベジータや蔵馬など気や妖気を探知できる面々は奇妙な気配を察知するのは容易いことだった。フェイトとアルフには内緒でプレシアに直接応じてその場所さえ発見する。この部屋の隠し扉がありそこから先に向かうとそこにはフェイトに良く似た幼女が液体が入った巨大なカプセルの中で浮び眠っていた。プレシアはアリシアと呼び近付けさせないようにしていた。
「アリシアに触らないで!!」
だが、相手が悪すぎた。ほぼ全員がプレシアよりも遥かに格上の相手。勝てる道理もなく軽く動けなくさせられた。そこからプレシアは真実を話す。このアリシアこそが本当の娘でフェイトはアリシアのクローン。目的はアリシアを生き返らせること。アリシアは過去の事故により死んでいる。プレシアはたった1人の愛娘を蘇らせようと考える。その一つがクローンを造ることだった。それがフェイトだった。しかし、クローンだったのでアリシアとは性格が似つかなかった。だからフェイトを人形と蔑んだ。そんな時だった。ジュエルシードが地球に落ちたのは。プレシアにとってまさに僥倖だった。フェイトにジュエルシードを集めさせて禁断の地、アルハザードと呼ばれる所に行く。そこには蘇生術があるとのこと。プレシアはそれにしがみつくしかなかった。だからこそ、プレシアは邪魔させないと杖を構える。だが、真実は残酷だと思い知らされる。
蔵馬「アナタには見えてないが、俺には見える。彼女の魂はまだこの近くにいる。このカプセルの近くを彷徨っている」
プレシア「は?」
蔵馬「ようするに彼女は死んでいません。仮死状態みたいなものです」
そう、蔵馬と飛影は妖怪だから見えていたのだ。アリシアの魂と肉体がまだ糸のように繋がっていることに。アリシアは死んではいなかったのだ。プレシアの早急の措置のおかげで死なずにすんだのだ。ただ、魂が入れないだけである。いや、魂が肉体に入るのを拒んでいるかのようだ。
プレシア「なら…なぜアリシアは戻らないの!?仮死状態なら目覚めても!」
蔵馬「仮死状態とは植物状態と同じです。魂が何らかの理由で戻りたくないと意思表示をしているのです。心臓マッサージをしても戻らないのはそういう理由です。彼女の魂はなぜか怒っています。それが戻りたくない原因なのかも」
プレシア「どういうこと?」
蔵馬「こればかりはどうも。心辺りはありませんか?」
プレシアはないと即答する。それがアリシアの魂を怒らせる。それが蔵馬には見えた。だから蔵馬は過去の思い出を思い出させようとする。蔵馬は魔界にある幻惑の花をプレシアに嗅がせる。すると、プレシアは思い出す。アリシアとの思い出を。そして大切な思い出を。
プレシア「あ、ああぁぁあああああっっ!!」
プレシアは突然大泣きして崩れる。アリシアは過去にこう言っていたのだ。妹がほしいと。プレシアはそんなアリシアの心を踏みにじったのだと悟る。アリシアは優しい少女だ。クローンだとしてもフェイトは妹なのだ。それを苛めた母を赦せなかったのだ。だから戻りたくなかった。いや、その負の感情が戻るのを拒んでいるのだ。それがプレシアをアリシアを苦しめるとは思いもしなかったのだ。