アンチ・ヘイト作集

□アンチD×D編
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突然だった。俺は両親から家族から見捨てられた。俺には双子の兄がいた。その時の俺は気付かなかったが兄が何かをしたらしい。そのおかげで仲良かった友達も両親も赤の他人と化してしまった。そして…見捨てられた俺は世捨て人のようにまるで戦時孤児のようにして生き抜いてきた。最初は公園の飲み水で腹を膨らませて凌いでいた。だが、それだけでは我慢できなくなり雑草を食べたり虫を食べたり、さらにゴミ箱から食べ物を漁って食べたりしていた。しかし…そんな生き方も永くは続かなかった。それは雨が激しく降り注いでいた時だ。俺はいつものようにゴミ漁りをしていた。そこに数人の高校生が現われた。俺は人気のない路地裏に連れて行かれてボロ雑巾のようにボコボコにされた。集団リンチによる暴行。俺は意識が朦朧となっても焦ることも苦しむことも痛むことも泣くこともなかった。まるでそんな感覚などないかのように。ただただ雨が降る雲空だけを見つめていた。

「このガキ、気持ち悪いなぁ。こいつで殺っちまうか」

「おいおい、そんなことしちまったら拙いだろ。殺っちまったらサツに捕まったまうぜ」

「それはねえだろ。こんなガキなんか死んだって誰もわかんねえよ!それによ…一度でもいいから殺人ってのをやってみたかったんだよ!人を殺すのをよ!」

「ああ俺も!」

『『ぎゃっはははは!』』

朦朧した目に1人が手にナイフを持ってるのに気付いた。あぁ…俺はそのナイフで刺されて殺されるんだと。俺は死ぬことに恐怖も怯えもなかった。ただ淡々とそうなるんだと思った。いつ死んでもおかしくない。いままでも死にそうな日々だったのがこうも意外と長く続いただけにすぎない。だから死ぬことに怖くはなかった。怖くはなかった…ただ、心の片隅にある思いが残っていた。…………生きたい。もっと生きたい。そんな叶わない願いが、まさか叶うなんて思わなかった。

「……ほぉ、これは面白い。面白いものを見つけてしまった」

「あぁ?んだてめえ!ここはてめえみてえな奴がいていい場所じゃねえ!失せな!それとも今すぐ殺されるか?いいぜ!2人も殺せるんだからな!」

通じたのかどうかわからない。ただこの高校生達とは全く違う声が聞こえてきた。高校生達の高笑いが聞こえてくる。耳はまだよかったのでよく聞こえてくる。だから、奇妙な音が聞こえてくる。

「ぎゃああああ!?腕が!俺の腕がああ!?」

「ん?どうした?お前達は人の死に興味があるのだろ?だから体験させてやろうと言うのだ。お前達が身を持ってな」

「ひっ!ひぃっ!」

「た、助け…!」

「やめっ…!」

高校生達の怯える声が聞こえてくる。それと同じようにグシャッやらボゴンッやらブシャーッやら奇妙すぎる音が聞こえてくる。その音が聞こえなくなったのと同時に高校生達の声も聞こえなくなった。なにが起こったのか全くわからない。

「んむ、少し汚したな。もう少しスマートに綺麗に掃除をすべきだったな。思わぬ者を見つけてテンションを上げてしまったか結果か。まあいいか。別に構わないしな。さて…本来の道筋から離れた少年(主人公)よ。生きたいか?なら生かしてやろう。そして、本来以上の力を与えてやろう。ただし、拒否権はない。この俺の気まぐれだからな。はっははは…」

そうして俺は連れて行かれた。連れて行かれる前、気を失う前に俺の目に写ったのは…薄暗い雨雲なのにまるで輝いてるような青い髪をした人だった。
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