その他。

□りっかい、かぞくけいかく。
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▽ある日の母と三男。

「なぁ、ゆきさん。」

「…そろそろ名前で
呼ぶのはやめたらどうだい?」

「母さん、と呼ぶより慣れて
しまったからの……。」


三男は母さん、ではなく
旧姓の幸村から
ゆきさん、と呼ぶ。


「でもまあ、いいか。

あ、そうだ。
弦一郎を知らないかい?」

「…………。」


子供たちは大体
父の名を出すと黙る。
あまり物事に動じない
三男も例外ではないようだ。


「やっぱり知らないか。

まあ、緊急の用じゃ
ないからいいけどね……。」

「…………!」


いや、この一家には
父より恐いものがある。
それは母・精市である。


緊急の用じゃないから、
とは言ったがそれは母が
何か企んでいる時の口癖らしい。



――さすが恐ろしい。
というより凄まじい。


さすが魔界の出身だ……


と思ったが母に悟られないよう


足早に自室に戻った
三男であった。

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