真夜中幻想曲
□第二話
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パタン…
よし待て。とりあえず状況を理解しようか。
急いで自分の部屋から出て扉を閉める。
それから両方の頬を強く引っ張ってみた。
「…………痛い。」
夢では無い…と。
「…………………えええええええええええええええええええええ!!?」
思わず廊下で叫んでしまったので、慌てて片手で口を塞いだ。
とはいえ5階には私しか住居人はいないのだが。
下の階の人に聞こえてないと良いけどとか思いながら、私の頭はもう既にパニックに陥っていた。
どどどどうしよう…!?
近くの人に言った方が…!いや、警察に連絡?
あれ…警察の番号何番だっけ!!?
というかそもそも私ちゃんと朝戸締まり確認して、最後にドアの鍵もかけたよ!!何で部屋に入れる訳?!
頭を抱えながら唸っていると、ふと自分の中で一つの予測が浮かび上がった。
「…………そうだ。これはきっと何かの幻か幽霊よ」
きっと何かで見た映像がたまたまフラッシュバックして蘇っただけ!
「ははは…私バイトで相当疲れてんのかな?」
そう言い聞かせながらガチャリと再び扉を開けると、ナマエの予測は虚しくハズレる。
変わらない現状がナマエの目を、頭を事実へと追い込む。
「……………。もう逃げても良いですか?」
*