魔法少女リリカルなのは〜Extreme Heart〜

□第七話
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「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

そう叫びながら、ジュエルシードの暴走態はなのは達に向かって突っ込んできた。
咄嗟になのははユーノを掴むと、空高くジャンプした。

「うわあああああああああああああああああああああああ!!」

掴んでいるユーノが叫んでいるが、なのははそれを無視して地上から10メートルの地点で制止する。

「あれ?」

またまたユーノが言っているが、これも無視してなのはは相手を見る。
暴走体は、突っ込んだ先にあった木々をなぎ倒すことでようやく止まったようで、同時に自分たちを探すかのように辺りを見渡し始める。

「まだ戦闘経験は浅い感じだね・・・」

(そのようですね)

相棒と会話をしながら、なのはは相手の様子を伺う。
先程の体当たりといい、辺りを伺う様子といい、まだ戦うには経験がなさ過ぎる。

「はぁ・・・」

なのはは一人ため息をついた。
これなら、以前に戦ったあの白熊のほうが幾倍も、やりがいがあったのだが・・・

「あ・・・あの――?」

と、ここでようやくなのはは、右手に抱えているユーノを思い出した。

「あぁ、ごめんね。急なことしちゃって。」

「い、いえ!」

そう言うがユーノ自身、かなり驚いていた。

(一回のジャンプで10メートル近く飛ぶって、どういう鍛え方をしたらなるんだ?!しかもそこから、魔力も使わず静止するなんて・・・・)

ユーノは、今自分を抱えている女性に一種の恐怖を覚えた。

「ユーノ君。ちょっと肩に乗っててくれないかな?」

「え?・・・・うん。」

なのはの言葉に従い、ユーノはなのはの右肩に移動する。

「ありがとう。じゃ、始めようか。」

そう言うと、なのはは左手を胸に持っていき、眼を閉じる。

「何を・・・・」

そう言おうとして、ユーノは固まった。
何故なら、胸にあるなのはの左手が徐々に光り始めたからだ。

その色は、美しいと思えるくらいの桜色。

やがて拳が見えないくらいの量になると、なのははゆっくりと眼を開き、その光を見て満足そうに頷く。


「うん。これくらいでいいかな?」

(十分です。それだけあれば、ここ一帯全てを覆うことが出来ます。)

「ありがとうエクス。」

そう言ってなのはは、光を纏った左手を天高く突き上げた。



その瞬間、左手を纏っていた光は空高く一つの光となって飛んでいった。

飛んでいった光は、やがて何かに当ったかのように止まり、そのままドーム上になって公園一帯を包み込む。

「これって、結界魔法?!」

「違うよ。結界は結界だけど、これはその上の次元結界魔法だよ。」

「じ・・・・次元結界?」

聞きなれない単語が出てきて、混乱するユーノ。

だが変化はそれだけでは終わらない。
囲んだドーム内は、黄金の粒子を撒き散らしながら、周囲を包んで姿を変えていく。


そして、内部は荒野のごとき姿へと変貌した。

辺りを見て呆然としているユーノを見ながら、なのはは暴走体に視線を移す。

さすがに、これだけの事をすれば相手も気付いたらしく、暴走体はなのはのいる位置を睨みつけている。

だが、それが既に手遅れであると気付くべきだったであろう。

あるいは、最初の体当たりの際にそのまま逃亡すればよかったであろう。

だがおろかにも、暴走体はそれをしなかった。

ただそれだけのことだ。


「さてと・・・・」

もはやチェックメイトの状態だ。

なのはは右の人差し指を暴走体に向ける。
暴走体もそこから何かを感じたのか、手から無数の触手を出して襲い掛かってくる。

だが何度も言うが・・・・



既に手遅れなのだ・・・・


「ディバインバスター。」

なのはのその言葉と共に、指から小さな桜色の球体が生まれ、やがてそれは暴走体に向けて放たれた。





人を丸々飲み込むほどの大きな光となって・・・・
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