Rewrite The Transcendental

□第二章
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 現在午前六時。
 零夜は自分の部屋にいた。

 (眠れねぇ…)

 自分がメモリーホルダーというものに選ばれ、記憶の断片を見せられた時から眠る事ができず、ずっと起きていた。

 (もう、やることがない…。仕方ない、学校行くか)

 



 
 そして、ずっと考えながら登校したのだが…。

 「あ、青野。今日は嵐でもくるのか…」

 これはルチアの言葉。
 クラスメイト達は驚きを隠せずに、

 『あ、青野が遅刻してない!?』

 『嵐!?それとも隕石!?』

 こんな風に、大騒ぎする生徒もいた。

 「なぁ、青野。何で今日は早くきたんだ?」

 「ほんと、珍しいよね。…もしかして、世界の危機!」

 瑚太郎と小鳥も話しかけてきていた。

 「………」

 黙ってはいるものの、内心では、
 
 (ゲームでもよく見る反応だが…。俺にいったいどうしろと…) 

 話すことさえも面倒なため、零夜は反応は見せない。

 「ぬ、抜け殻?」
 
 「コタさんや。そんなリアルな抜け殻ない。」

 「どこからどう見ても人間だろう」

 結局、反応を示さずに時間が経ち、HRが始まった。
 授業中も起きてはいるが、態度で言えば、寝ている時の何ら変わらなかった。
 





 昼休み、零夜は朱音の部屋に行く事が日常となっている。

 「また来たのね…」

 朱音が束になっている書類を整えながら呆れたように言う。

 「暇だから。何とも良い理由だ。…それで、その書類は何だ?」

 「………。これは、あなたのクラスの天王寺瑚太郎にしたアンケートの解答用紙。天王寺のことは知っているでしょう?」

 「一応」

 「その生徒が幽霊に遭遇しているんだそうよ」

 「あんた、幽霊を信じていないだろ」

 「ええ、プラズマだったり、錯覚だったり…。もし良ければ、あなたもこのアンケート、答えてくれるかしら?」

 「別に良いけど…」

 零夜はアンケートに答えることにした。

 
 (何なんだ。このアンケートは・・・。)

 そのアンケートには食生活から事細かに質問があった。
 何故か、プライバシーを聞かれている気もする。

 (これは…。禅問答か?)

 零夜が訝しげな表情になった質問。
 それは、最後の質問だった。

 《あなたには世界を変える力があります。あなたは自分を変えますか?それとも世界を変えますか?》

 (俺は、…世界だな。自分を変えて世界が色あせて見えるのは残念だ。どうせなら世界が変わった様子を存分に堪能したいからな…)

 零夜は”世界”に丸を付け、

 「終わったぞ」

 「案外早いのね」

 「ああ、俺はもう戻る。というか、イマイチ意味の分からないアンケートだったぞ」

 時計は昼休みが終わる頃を指していた。
 集中するわけでもないが、早足で教室に戻っていった。



 部屋に一人残っている朱音は、考えを巡らせていた。

 (本当にガイアみたいな考えが多いわね。もしかしたら、昔魔物も使えたのかしら…) 
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