Angel Beats! 〜イレギュラーな俺〜
□第1話
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唐突に目が覚めた。
だが、寝ていたわけではないと思う。
体がだるいわけでも、まぶたが重いわけでも無いと思う。
目に入ってくるのは月。
だが、雲が若干かかっている。
…綺麗な月だ、柄にもなくそう思ってしまった。
待て、俺の柄って何だ?
何も、いや、俺がどんな人間かはなんとなく分かる。
人殺し。
その言葉が浮かんだ時には、頭がおかしくなりそうになった。
記憶喪失の人間にいきなり、お前は人殺し、って言うか?
まあ、良い。
仰向けのまま体を見渡すと、黒い学ランを着ている。
…覚えがないな。
もしかして、酔っぱらってたのか?
だが、俺はまだ未成年だった気がする。
でも、酒を飲んだことは何度かある。
ははっ、未成年で酒を飲む、か。
何となく楽しい事だった気がする。
…また、何か記憶の手がかりが掴めた。
記憶なんていう曖昧な物を捜しているとは、俺も駄目だな…。
「目が覚めた?お二人さん」
体を起こし、声のした方を振り向くと、ライフルを構えた女の子が居た。
隣には、俺と同じ格好の男が一人。
その男が、
「あんた…」
言い終わる前に女の子がライフルのスコープから眼を離し、言った。
「ようこそ。『死んでたまるか戦線』へ」