Angel Beats! 〜イレギュラーな俺〜
□第2話
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この世界に来て何日か経ったある日。
俺たちは作戦本部に集まっていた。
「高松君。報告をお願い」
「はい、武器庫からの報告によりますと、弾薬の備蓄がそろそろ切れるそうです。次の一戦を交える前には、補充した方が良いかと」
高松が報告書を見ながら言う。
というか、どうやって銃や弾を作っているんだ。
「新入りも入ったことだし、新しい銃も必要なんじゃない?」
俺は別にハンドガンでも問題は無いんだがな。
「そうね。じゃあ、今日のオペレーションは『ギルド降下作戦』よ」
降下…。
俺、高いところ嫌いなんだよな…。
一番嫌いなのは、あれだ。
高いところから車とかで一気に降りたら来るあの変な感じ…。
あれは、何度体験してもなれることはない。
「なに言ってるのよ、空から降下じゃなくて、地下へ降下するのよ」
「へぇ、地下か…。って、地下ぁ!?」
音無が驚嘆する。
地下へ降下…ね。
たしかに同じ降下だ。
「私たちは地下深くにある武器を製造しているところをギルドと呼んでいるわ」
「それじゃあ、天使にばれないで、ってことか?」
「そうね。あそこを取られたら、武器の補充もできないから、私たちの勝ち目は無くなるわ」
ゆりはパソコンのキーを押した。
すると、プロジェクターに映された画面に電話のマークが浮かび、コール音が鳴り始めた。
「私だ。今夜、そちらへ向かう。トラップの解除を頼む」
『ヘーイ、今晩だな。待ってるぜ』
電話が切れ、ゆりが一度部屋を見渡す。
「よし、今回はここにいるメンバーでギルドに向かうわ」
「あれ?野田君は?」
「あのバカはまた単独行動してるんだろ」
日向がやれやれといった様子で言う。
たしかに、あいつはバカかもな…。
最初にあった時は、トラップにかかっていたし。
「せぇの!」
TK、松下五段、高松がステージ下にある引き出し?を協力して引く。
その中にはイスが並べられており、その奥にはなにやら扉らしき物があった。
俺は、皆に続き、そこにあるハシゴを下りていく。
ギルドを降りると、そこは映画で見たことがあるような地下通路だった。
「オイ、誰かいるぞ!」
藤巻が皆に言い、その誰かがいる方向へ懐中電灯を照らすと…。
「フッ…」
…野田が、どや顔でハルバードを構えていた。
「アホだ」
日向が呟く。
まあ、そうだろう。
「おい、音無と言ったか…。俺はまだお前を認めてねぇ…」
「別に認められたいわけじゃない」
「なあなあ、大山。コイツ、なんでここで言うんだ?」
俺は小声で大山に訊く。
「たしか、野田君はシチュエーションを大事にしたような…」
「貴様…、今度は千回死なせて―――ぐぁは!」
突如襲ってきた何かによって野田は飛ばされた。
振り子のトラップか。
スイッチが押されると、でかいハンマーがでてきて、その重さで飛ばし、壁にぶつける。
古典的なトラップだな。
「臨戦態勢!」
ゆりが咄嗟に呼びかける。
「トラップが解除されてねえのか!」
へえ、トラップが…。
それってマジヤバじゃ…。
「あ、千崎君。銃出して」
大山に言われて、銃を出し、装填する。
いつ天使が現れてもおかしくないってことか…?
「もしかして、天使がここにいるのか?」
「ええ、そういうことになるわ」
周囲を警戒しながらゆりに訊く。
これはまた、大変なことになったな…。
「どうする!天使を止めるか!」
「天使はトラップがあるから大丈夫だろ!一度戻ろうぜ」
たしかにトラップがあれば良いかもしれないが、あくまでもこれは一時的なものじゃないのか…?
「これは足止めには不十分。だから、進軍よ!」
天使の足止めを目的とし、進軍する俺たち。
周りが暗いが、少しずつ馴れてきた。
こちらの連絡通路にも以上が無いことを確認してから、大山に話しかけた。
「なあ、これらの武器はどうやって作っているんだ?この世界に鉄を作る技術があるとは思えないんだが…」
「実は、もとは土塊なんだよ」
「何?」
どういうことだ?錬金術でも使うのか…?
「ギルドのみんなが生前の記憶を頼りに、銃を作っているんだよ」
「じゃあ、製造方法が分かれば良い、ってことか」
「そうだよ」
なるほど…。
これはかなり良いことを聞いた。
俺は、肝心な記憶が無いが。無駄な知識が溢れるほどある。
ならば、手榴弾や閃光弾をを作ることが出来る。
「まずい!来るぞ!」
ん?トラップか?
すると、地面が揺れ始めた。
そして、前方の天井から何かが落ちてきた。
「走れ!」
落ちてきたのは黒い巨大な鉄球。
直径が俺らの身長より高いぞ!
こちらの方が低いのか、俺たちの方へ向かって転がってくる鉄球。
皆は全速力で後退し始める。
「こっちだ!」
椎名が曲がり角で手を振る。
ゆりや藤巻らは何とかたどり着くが、俺と日向と音無、あと高松は少し遅れている。
音無と日向は角へ逃げ込んだが、俺と高松はまだだ。
ちっ、一か八か!
俺は、壁を蹴って跳躍し、鉄球を避けた。
そこまでは良かったのだが…。
「痛っ!!!」
跳躍し、鉄球の様子を確認しようと思っていると、天井が低く、背中を強打した。
「おい、大丈夫か?」
音無が心配そうに駆け寄ってくれる。
「ん?ああ、問題無い」
背中がひりひりするが、大丈夫だろう。
…多分。