Angel Beats! 〜イレギュラーな俺〜

□第5話
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 2人の男が向き合っていた。
 1人は、多量の出血からか、苦しそうな表情で、相手を見上げており、手にはナイフが握られている。
 
 もう1人は、手に異形の刃物を持って、悲しそうな表情で俯いている。

 そして、異形の刃物が日本刀に形を変え、相手を貫いた。
 
 『すまない……………』

 意識を失い、倒れた男を確認すると、涙を流しながら、去っていった。



 




 場所はとある教室。
 そこでは、新ボーカルのユイが加入したガルデモが練習をしていた。

 俺はその練習を眺めている。
 一通り、練習が終わると、ひさ子が休憩を入れた。

 「千崎、あんたから見て、ユイはどうだ?」

 すると、ひさ子の声が聞こえたのか、他のメンバーがこちらを窺っている。

 「観客に任せれば良いんじゃないか?作戦に使えれば良いんだし」

 イスを前後ろ反対にして座って、ダルそうに答える。

 「じゃあ、今見て、どう思う?そっちの主観で」
 
 「岩沢とは天と地ほどの差があると思う」

 それを聞いたユイはガックリの項垂れ、膝を付いた。
 関根と入江もストレートな感想に顔を引き攣らせている。

 「そこまで言うのか…」

 ひさ子も額に手を当てている。

 「だから、NPCに任せれば良いって言ったじゃないか…」

 「まあ、そうなんだけど…」

 今日、いつもの戦線本部にいないのには、理由がある。
 最近、記憶の手がかりになるような夢をよく見ている。
 だが、肝心なところで目が覚めると、体が鉛のように重く、気分の底へ沈んでいる。

 「何か、最近遊んでばっかな気がする…」

 球技大会以降、何度かトルネードは行ったが、どれもあっさりクリア。
 俺の中では遊びも同然だ。
 そして、ここまで時間が簡単に流れていくと、体が老いなくても精神で老いていくだろう。

 「練習、再開するよ!」

 瞼が重いと感じていると、ひさ子の声が響き、メンバーが練習を再開しようとしていた。
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