Rewrite The Transcendental

□第二章
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 午後十時頃、今日は少し早めに森に来ていた。

 (あの記憶…。はっきり言って二度と見たくないな。記憶に自分を変えられる…。怖い物は少なくても、変えられたら元も子もねえ…)

 「青野、またこんなところで何しているんだ。」

 「お前達には関係の無いことだと思う」

 「またそんなことを―――!」

 静流、ルチアとの鉢合わせ。
 ルチアは零夜を叱責しようとするが、魔物の存在に気がついた。

 「かなりの数だ。用心しないと手m」

 「犬が十五匹」

 「…おお、数が分かるのか」

 二人は規模は分かっているものの正確な数は分からない。
 零夜自身も正確な数ではなく、配置や勘といった不確定な物から割り出している。

 「それじゃあ、1人最低でも4匹は倒さないと」

 2人にそう言ってルチアは魔物の方へ向かった。

 「…よろしく、零夜」

 静流もルチアに続いて魔物に向かっていった。

 「俺も、やるか…」

 小さく溜息を着きながら呟いたその時、

 「ぐっ…!」
 
 突然、頭が酷い痛みに襲われ、頭を押さえる。

 (何だよ…!すぐ近くに魔物がいるってのに!)

 そして、立っていられることができず膝を突き、頭を抱える。

 (やばい!魔物が来る。)

 零夜の視界にハウンドタイプの魔物が映る。

 《メモリーホルダーの力の一部を見せてやろう》

 頭の中に記憶を見せられた時にいた者の声が響く。
 すると、零夜の体は勝手に動き、手に持っていたナイフが飛びかかってきた魔物をまるでピアノ線を張っていたかのような切れ味で胴体を切断した。

 (お前は…夢に出てきた!)

 《そうだ。メモリーホルダーがこの程度で手こずることなどありえない》

 そして、零夜の意思に関係なく体が動き、次々と魔物を倒していった。

 (やめろ!俺を勝手に動かすな!)

 〈何を言っている。俺とおまえは同じだ〉

 (まさか、強制的に契約をするのか!?)

 《そんなことはしない。一部を見せると言っただけだ》

 体の動きが止まり、もう操られていないことが分かるが、頭の痛みは増し、零夜は倒れ込む。

 「あ、青野どうしたんだ!?」

 「…零夜!」

 そこに、静流とルチアが魔物を倒し終えたのか、零夜の元へ駆け寄った。
 
 「大丈夫か!」

 「ち、近づく…な…」

 「こ、これは何だ!?」

 すると、零夜の体中から透き通っている青色染まった帯のようなものがゆっくりと流れ出てきた。

 「早く…!離れろ…!」

 周りに充満したその時、零夜の近くから次々と小規模な爆発を起こした。

 「あ、青野!?」

 「…零夜!?」

 《今回はここまでにしておくか…》

 この声が頭に響いた時、意識は途切れた。
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