◆『どこまでキコエル』長編小説◆
□* 6.7 * チカとシェリー
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「ありがとう、チカくん。私を守ってくれたんだね。」
「え・・・。」
「チカくんは優しいね。
早くいろんな気持ちの整理がついて、今、私を守ってくれた気持ちでお兄さんにも向き合えたら、
それが、最高の技と思う。
・・・合気道の場合だけどね。」
志衣里さんは少し照れくさそうに囁いて、僕を引っ張って起してくれた。
何だか泣き出しそうだった。
悔しいなんて全然思わなかった。
嬉しくて、切なくて、志衣里さんに抱きつきたくなるくらい、泣き出しそうだった。
「ごめんなさい・・・。」
僕はそれだけ言うのが精一杯で道場を後にした。