◆『どこまでキコエル』長編小説◆
□* 17 急転直下 *
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「俺はやってみても、いいと思う」
え?モリ先輩?
「王様ゲームはやったことはないが、普通に、皆でたまには、何かを作ってみるのはいいことなんじゃないか」
普段寡黙なモリ先輩だから、その一言は僕たちに妙な説得を与え、ハニー先輩のでたらめなゲームを一瞬にしてまともな学園青春ドラマにしてしまった。
「仕方ないですね、わかりました。確かに、折角の夏休みに皆さんで集まったんですし、モリ先輩が言うように、そういう日があってもいいかもしれませんね」
ハルヒもモリ先輩にはすんなりと説得され、光もハルヒと一緒ならと、少し不満そうではあったけど、抵抗を諦めた。
僕も、そんな空気になってしまって、このでたらめルールで始まったゲームを降りることができなくなった。
思わず、小さなため息をついた。
そんな僕にハニー先輩は少し嬉しそうに笑ってウインクした。
―…やっぱり。そういうことなんだ。
ハニー先輩の魂胆は見え見えだったけど、こうでもしないと、シェリーとのことが進展しない僕を推し量っての強硬策ってわけだよねと、完敗を認めざるを得なかった。
そして、作るケーキはタワーパンケーキという王様のリクエストがあって、僕とシェリーは買い出しに出かけた。