◆『どこまでキコエル』長編小説◆ 

□* 18 光風霽月 *
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外に出ると、気温は今日一日の一番高い温度、僕の少し斜め前に、シェリーがいる。
まるで蜃気楼を見ているかのような気分で、僕は話しかけることも無く、まっすぐに歩いているシェリーをチラッと見ては、自分の足元を見て歩いた。

「暑いね、今日はほんとに」

空を見ながらシェリーが話しかけてくれる。

「馨君は、ハルちゃんと友達だったんだね」

「うん、そうだけど…」

「クラスも同じだったなんて、すごい偶然」

「偶然って…?」

彼女は僕に振り向き、一瞬覗き込むようなしぐさをして、足を止めた。

「さっき、ハルちゃんの家で会ったとき、何となく、皆の前だから言えなかったんだけど、中庭で一度会ったことがあったよね?」

シェリーはあの時のことを覚えていた。
僕は暑さと沸騰しそうな感情の高ぶりで意識を失いそうだった。
シェリーはそんな僕の様子に気が付いたのか、少し心配そうな顔をして、

「暑さで眩暈しちゃった?」

そう言って、周りを見渡し、何かを見つけたようで、急に僕の腕を取って、また歩き出した。

「え!ちょっと、待って…」

びっくりしている僕をよそ眼に、シェリーはどんどん見つけた場所に向かって歩いていく。
そんなリズムの中、垣間見える彼女の顔が、一瞬、笑っているように見えた。
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