◆『どこまでキコエル』長編小説◆ 

□* 19 嫉妬するイキモノ *
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夏休みは、海だったり、別荘だったりと、それなりにイベントと呼べるものを企画していた。
その中でも、今日は俺にとって最大のメリットを取れるイベントだ。

いつもの環の思い付きで、モリ先輩と鈴川志衣里が出場する全国乗馬大会に、モリ先輩を応援するという趣旨で、ホスト部ツアーを行うことになった。
勿論、ホスト部の常連客も一緒なので、そちらの方の採算も十分すぎるほど潤う。

こちらが様々なコネクションを持っていることから、ホスト部ツアーは大会と会場側からVIP待遇をされることになった。
俺たちは乗馬に相応しく、英国紳士というコンセプト衣装を着ることにした。
特別観覧室を貸し切って、優雅に観戦する。

予想通り、モリ先輩の乗馬競技と乗馬スタイルは女子たちには大いに受けが良く、こちらで販売を予定しているツアー写真集も予約で一杯になるほどだ。
モリ先輩が、当然のように出場したクラスで優勝したことも、その一因ではある。

しかし、今日の俺の問題はそちらではなかった。
鈴川志衣里のことだ。

ここに来るまでに、部員管理の一環として行っている、ハルヒ父との定期連絡で、ハルヒと鈴川志衣里が幼馴染だったことが分かった。
ハルヒ父からの話では、彼女は幼い頃に母一人子一人で日本に住んでいて、ハルヒとは保育園が同じで近所だったことから、よく遊んでいたという。
小学校に入った頃に、母親を事故で亡くして、イタリアに住む姉夫婦に引き取られることになったらしい。
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