◆『どこまでキコエル』長編小説◆ 

□* 1 * 遅れてきた新入生
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彼女自身の暮らす部屋までも、以前住んでいた同じ部屋を用意されていて、まさか内装や家具までも当時のままなら、徹底した完璧主義でそれはそれで面白い、と玄関のドアを開けるのをワクワクしてドアノブを手にしたが、
目の前に広がったのは、1LDKに改装され、建物の外観からは少し違和感を感じるほどさっぱりした新しくきれいな部屋だった。
家具ももちろん、生活に必要なもの一式、新調したものがすべて用意されていて、
一人で使うには少し大きめのベッドがやけに部屋から彼女を威嚇していた。

窓際に設置されていたアンティークな勉強机には書置きのようなメモが1枚と小さな封筒が置いてあった。

―志衣里、よく来たね。足りないものがあれば、封筒の中のカードから使うといい。
先に伝えてあったこちらへの現状報告は月に一度、第一日曜日とする。
必要な連絡があれば携帯電話に登録してある私の執事に伝えるといい。
それから、明日から新しい高校へは通うように。
1ヶ月遅れたが、明日からのことは既に校長へ連絡してある・・・。
では、会えるのを楽しみにしているよ。 
祖父より ―
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