◆『どこまでキコエル』長編小説◆ 

□* 4 * かわされた敵意
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―あんな風なら、友達もすぐできるんだろうな・・・。

俺は自分の見た目に似合わない女々しいことを思いながら、
いつの間にか、クルクルと表情の変わる鈴川の横顔をぼんやり見つめていた。

 ―俺も、話してみたい・・・。鈴川の目には俺はどんな風に映るだろう?


 昔の俺は家業のことで悩んだりもしたが、今はうちの者たちのことを家族以上に大事に思っているし、
できることなら、もっと信頼し合って絆を深めていきたいと思っている。
ただ、この俺の外見と性格が邪魔して、なかなか皆と上手く付き合えていない気がしている。
いつかは俺が引っ張っていかなくちゃいけないと自覚しているから、
いろんな本を読んだり勉強もそれなりに頑張っている。
もともと読書や文を書いたりする内向的なことも好きだったので、周りからは誤解される姿のようだったが図書室にもよく足を運んでいた。
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