◆『どこまでキコエル』長編小説◆ 

□* 4 * かわされた敵意
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たしかに、この学校に通うには入学金と支度金など入学時の一時金でも相当なお金が必要で、
家に財力がない生徒はその後も続く授業料、寄付金など最低でも数百万になるため、通い続けるなどは不可能だ。

特待生制度もあるが、俺たちの学年で初めての特待生がたった一人、A組へ入学しただけだった。
特待生でもない鈴川がどうやってこの学校に通っているかというのは、何となく引っかかるのもわかるが、
皆、彼女の性格を前にすると、詮索するのをためらった。
鈴川なら、聞いたことには包み隠さず直球を返してくるだろうから、逆に、そのまっすぐな答えを考えると尋ねるのが怖かった。
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