◆『どこまでキコエル』長編小説◆
□* 7 * 初めての再会
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「どうしたの?馨?」
急に黙った僕に光が不思議に思って僕の顔を覗き込んだ。
――何で、あの子がここにいるんだ?人違い?ううん、そんなのありえない。
だって、いつも僕らが受けているような感情を、僕はずっと切り抜きの写真の彼女に送ってきたのだから。
でも、すごく驚いたし、何故か焦ったし、
今すぐにでも追いかけて、捉まえて、「ぼく」を認識してほしいって思ってしまった。
だけど、何でだろう、そんなことできなくて、
「えっ、いや、ううん。何でもない。」
そう光に返して、何もなかったように部室へ向かった。