◆『どこまでキコエル』長編小説◆ 

□* 7 * 初めての再会
3ページ/10ページ


 5月になってすぐのある日、ハルヒは図書室に行くからと僕と光だけで部室へ行くために廊下を歩いていたときだった。
光はハルヒがいないことにちょっと膨れっ面をしながら、
「今日はどうやって遊ぶ?」
って僕に言いながら、あれこれとホスト部の接客のこととか、ハルヒのこととかを話していた。
僕も相槌をうったり、提案したりして、光と話してたら、
少し前を女の子が横切って行ったのに目を奪われた。

普段はそんなこと絶対ありえない。
周囲からのいろんな感情を感じながらも僕には関係ないって思って過ごしているから。

だけど、その子は僕らのことには全く気がつかないし、目もくれない感じで、
まっすぐ前だけを見て凛としている姿で歩いていた。
切り抜きの向こうに、いつも、見ていたそんな彼女の姿を僕が見逃すはずはなかった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ