◆『どこまでキコエル』長編小説◆
□* 7 * 初めての再会
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シェリーが鈴川志衣里という名前でD組にいることを聞いて少し驚いた。
彼女ほどの才能があれば、家柄は無くてももう少し上のクラスでもいいと思ったけれど、
やっぱり何か事情があるような気がした。
そんなこともあって、光にはまだ打ち明けられずにいた。
彼女は美術部に入ったらしい。
時々、僕らがホスト部へ向かう途中に彼女が美術室へ向かうのと一緒になってすれ違うことがあった。
だけど、どこですれ違っても、相変わらず、彼女の瞳に僕は映っていなかった。
ある日、クラス当番があった光より先に部室に行き、
部活が始まるまでは時間があったので、僕はぼんやりとシェリーのことを考えていた。
「今日は会えなかったなぁ・・・。」
そう思って、カバンの中の手帳から彼女の切り抜きをちょっとだけ出して眺めていた。
そしたら、さっきまでいなかったはずのハニー先輩がいきなり後ろから声を掛けた。