◆『どこまでキコエル』長編小説◆ 

□* 2 * うわさの転校生
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2 うわさの転校生

―どういうことだ・・・? 

ここ最近はずっと、あらゆる手段を使ってある人物の情報を探っているが、1ミリどころかその人物のことにかすりもしない。これだけ調べつくしても、何も出てこないとなると、意図的な何かを感じてしまう。

 それは数日前に始まった―

「鏡夜、来週、お前の高校に遅れて新入生が来るそうだな。」

朝食のときに、父からそう言われた。
まるで、以前、世界屈指の大企業グループで名家の須王の御曹司である環が俺と同じクラスに転校してきたときの朝のようだった。

俺の家は鳳家という由緒ある公爵の家系で、古くからドイツの最先端の医療を取り入れ、現在は大手病院など医療分野の経営を主軸とした大企業でもある。
それ以外にもリゾート施設経営なども積極的に行っており、須王グループとも競合する部分が多い。
須王家の一人息子で後継者の須王環が転校してきたとき、環の懐へ入り込むことを父から命令されたのだった。

「敵であるからこそ相手をよく知り、仲良くなっていて損はないだろう。」
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