◆『どこまでキコエル』長編小説◆ 

□* 3 * 遠くて近いライバル
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3 遠くて近いライバル

 僕がその子の存在を知ったのは、学校内の誰よりも、たぶん、表から裏まで何でも情報を掴んでいる鏡夜先輩よりも早かったと思う。
それはまだ僕が中等部3年生で、季節は冬が始まる頃だった。 
  
ファッションショーの仕事で海外に行っていた母さんが、2ヶ月ぶりに帰国して、僕らにたくさんのお土産を買ってきてくれた中に現地の雑誌が数冊混ざっていた。
僕がその子を見つけたのは、その雑誌の中だった。

母さんは海外の最新ファッション情報や美術関係・芸術関係の雑誌や本をいつも買ってきてくれる。
母さんの趣味は間違いないし、こっちではすぐに手に入らないようなものもあった。

僕と僕の双子の兄である光も美術・芸術・ファッション関係は大好きで、買ってきてくれる雑誌や本を見るのが楽しみだった。
特にヨーロッパ、イタリア、スペインの雑誌は写真集のようにきれいなものがいっぱいあった。
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