◆『どこまでキコエル』長編小説◆ 

□* 4 * かわされた敵意
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4 かわされた敵意

 新しい学校とクラスメイトに馴染み出した頃、1年D組に転校生が一人やってきた。
俺の右斜め前の席が、入学当初から空いたままだった理由がそれでやっとわかった。
本当は俺たちと一緒に入学する予定だったらしいが、1ヶ月遅れての入学となってしまったらしい。
担任がわざわざそう説明していたから、何か事情があったのだろう。 
―体が弱くて病気がちなのか?とか思ったけれど、見た限りそんな風な感じでもなかった。

俺の通っている私立桜蘭学院は幼等部から大学部まである。
主には初等部からの入学者が多く、エスカレータ方式で進学できる。
クラスは家柄・財力と本人の成績によって分けられるため、進級・進学しても大抵は同じ顔ぶれのクラスメイトになる。
ただ、D組は高等部からの入学者も結構いて、俺もその一人だった。
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