◆『どこまでキコエル』長編小説◆
□* 6 * ハニーとシェリー
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6 ハニーとシェリー
―あれぇ?あの子、確か・・・。
僕は崇の剣道部が終わるのを廊下のベンチで待っているとき、
目の前でキョロキョロと迷っている女の子を発見した。
その子は、あのきょーちゃんが「ムキになっている」女の子だったの。
「ね、ね。シェリーちゃんだよねぇ?」
僕が話しかけると、その子はびっくりした顔で僕を見つめた。
「え?!・・・向こうでお会いしましたっけ・・・?」
返ってきた言葉の意味が良くわからなくて、僕もきょとんとしてしまった。
「うん?むこう??」
シェリーちゃんが一瞬息を止めて、噴出すようにして笑い出した。
「あ、ごめんなさい。」
シェリーちゃんはとってもかわいらしい女の子で、笑うともっとかわいい。
「僕こそごめんね、驚かせちゃったね〜。僕、3年の埴之塚光邦、よろしくね。」
「あ、私は・・・」
「鈴川志衣里ちゃんだよね?!1年生の!」
僕が大正解の答えを出したら、シェリーちゃんはまたびっくりしたあと笑い出した。