◆『どこまでキコエル』長編小説◆ 

□* 6.7 * チカとシェリー
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6.7 チカとシェリー

僕の手首を掴んでいた華奢な手が、柔らかく手のひらに握りなおされて、
僕の体がゆっくりと起こされた。

そして志衣里さんが耳打ちしてくれた言葉は、
不思議に体に染込んで、
泣き出しそうになった。

「本当はお兄さんのこと、大好きなんだね。」

志衣里さんの合気道の演武は兄が相手役をした。
志衣里さんは、兄の「うさちゃんキック」だとか「うさちゃんパンチ」だとかいう
気色の悪い意味不明な技に合わせて合気道の演武をしてくれた。
僕だったら、あんなもの見せられたら兄を半殺しにしかねないくらいだけど、
志衣里さんは全部柔らかくかわしていた。
もちろん、兄も本気は出してなかったけど。

 
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