小蛤の夢
□ハロウィン企画〜貝楼オマケ編〜
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☆おまけ☆
翌日、私が屋上に行くとお兄さん・・・・つまり、ヒバリが給水タンクの上で昼寝をしているのに出くわしました。
(いつでも自由な方ですな・・・・)
給水タンクの上は日当たり良好だ。ひなたぼっこには最適の場所なので、ヒバリの隣を陣取る。
すると、ヒバリの腕輪から人が出てきた。
『・・・・・・』
「アルさんこんにちは。昨日は色々と、助言をくださりありがとうございました」
アルさんが一体誰なのかは知らない。ヒバリに似てるけど、ヒバリと違って髪は黒くなく、目も青い。
それに体が透けているから、多分生き物ではないと思います。
けれど、悪い人ではない。
『・・・・・別に』
アルさんはそれだけ言うと、再び腕輪の中に戻って行った。相変わらず無愛想な方だ。
「・・・・ああ、君。いつからいたの?」
それは、こちらも変わりませんが。
「ヒバリッヒバリッ」
「なんだい?」
おや。昨日とは全然違う態度ですな。
鳥と人、形は違えど大差はないと思うのですが。
ハロウィンの日は、お菓子に釣られ人に紛れて不思議なモノも動き回る。
昨日私は本能で、『ヒバリによくないことが起きる』と思った。
鳥である自分にそれを伝える方法はない。どうしようか悩んでいたとき、声をかけてくれた人がいた。
その人は私の相談にのって、助けてくれた。まあ、ラーメンを食べながらというのは、作法としてどうなのかとは思いましたが、それはこの際置いておき。
彼は一晩だけ、私が人の姿に見えるようにしてくれました。
と、まあこんな理由があったのですが、それはもう関係ないでしょう。
もう、好きなときに好きなことを伝えることはできませんが、こうしてなんの違和感なく、隣にいられるのは心地よいものです。
「ふぁ・・・あ。言うことないならもう寝るよ」
「ヒルネッヒルネッ」
「そう。・・・おやすみ」
昼寝ですか。それはいいですね。私もお供させていただきましょう。
私はヒバリの制服の上に飛び移り、心地よい夢の中へと吸い込まれた。