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□甘い嘘を頂戴?
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とはいえ、自分の容姿よりも、正直目の前の少女の方が自分の容姿を気にするべきではないだろうか、と洸は思う。


「……アリサだって」

「洸……?」

「いや……アリサも可愛いんだから、あんまし男友達作るなよ?不安になるから」

「なっ……」


真顔で、可愛いなんて言われて、平常心を保てと言う方が無茶である。
カッと熱くなる頬が、自分の顔を真っ赤にしている原因。
あわあわ、と慌ててしまうアリサに、洸が不思議そうに首を傾げた。

……どうして、こういう事に関してだけ、彼は分かってないのだろう。


「アリサ?」

「そ、それは反則です!!」

「は?何が反則なんだ?」

「ひ、卑怯だって言ってるんです!!」

「いや、支離滅裂だって」


慌てふためく彼女に、洸が苦笑して、優しく彼女の頭を撫でる。


「……あのさ、アリサ」

「はい?」

「俺、こういった祭りって初めてなんだ」

「初めて、ですか?」

「うん。ほら、俺は元々外部居住区でそれ程裕福じゃない家で6年間育って、その後両親が死んでからは、親父さんやカンナと外部居住区の外れで暮らしてただろ?勿論、こういった企画がなかった訳じゃないんだが……言い出せなくてさ」

「……どうしてですか?」

「両親に言っても、親父さんに言っても、きっといいよって許可が下りたんだ。でも、俺が楽しんでる間、両親はどうするのかな、とか、親父さんはどう思うのかな、とか色々考えてさ。結局、言い出せないまま、言われても断って、家の手伝いしながら、窓の外で楽しそうにしてる奴らを眺めてた」


それが顕著だったのは、カンナと二人で過ごした1年間だろう。
殆ど話さなくなった彼女を置いて、自分だけ楽しむなんて出来ず、いつだって窓の外を眺める日々。
だが、それを苦だと……憎らしいと思った時はなかった。
仕様がない。
自分には、守るべきモノがあるんだ。

洸の中にあった責任が、子供であった自分の心を押さえつける。

そんな暇があるなら……
そう呟いて、仕事に精を出す。


「アリサは?」

「……私は、両親がいた時に少しだけ。でも、その後は殆ど病室で過ごしていたと思います」


両親が死んだ原因を作ってしまった事により、彼女の精神は崩壊寸前まで追いつめられた。
それを助けてくれたのは、今もロシアで医者として働いている“姉”と自分を世界へと引っ張り出してくれた親友。

確かに辛い事は沢山あったが、それでも幸せな時間もあった。
それは、自分の心の中で宝石へと変わり、美しい光を放って、自分が歩く為の力をくれた。

そっか、と笑って、繋がれる手。


「お互い、初めて同士って事で、楽しまなきゃ損だろ?折角のハロウィンなんだし」

「結局それに戻るんですか?」

「当たり前。だって、今日はお祭りなんだぜ?」


行こう、と急かす彼は自分が知らない子供の頃。
確かに、今の時間を楽しんだとしても、なんの問題もないだろう。
失った時間を嘆く事は簡単だが、それを取り戻そうとしたって無駄。

過去を生きる事なんて出来ないし、それをしたいとも思っていない。
だって、今の自分達は今を生きているのだから……


子供の様に目をキラキラとさせて歩く彼に連れられ、アリサは前へと進みだした。







































甘い頂戴?


(お菓子は飽きたよ)

(もっと甘い甘い嘘で)

(私を満たしてよ)




―――――――――――――――

こちらが、主アリサイドでした;;

い、意味不明な内容となってしまった。

えっと……水無瀬の中ではソマ主=お騒がせ夫婦、主アリ=安定夫婦な構造があります。
何かと問題を発生させるソーマ×カンナ夫婦とは違い、洸×アリサ夫婦は友人以上家族未満な可愛らしいカップルを目指している……筈です。


まぁ、洸ちゃんがヘタレな上に子供でアリサが色々迷惑こうむってそうですが;;

別名『公害夫婦』(笑)

うん……BGM間違えたな。
この曲聞きながら書いたら、恐ろしく酷い方向へ引っ張られてしまったぜ★←





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